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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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「ちぃっ…!!」
後ろに跳ぶ。
目の前には何度斬撃を与えても屈そうとしない野生の虎…
「…」
周囲に視線を向ける。
皆は既に戦闘を終え…相方の狐の老婆の姿は見えない。
「…縄張りを荒らして申し訳ありませんでした…それでは」

ぷんっ。

真横に飛ぶ。
そして、隠密の動作…気配を断ち、出来うるスピードでその場から離れる…
…虎は嗅覚に動いてみれば、フェイクの血溜まりに導かれている事だろう。



…少し離れた場所。
テントの中で簡単な手当をした。
爪跡に近くで取れた薬草、持ってきていた包帯でぐるぐると巻く…
その程度の手当を終えれば、傷が痛むのかずっと横になっていた。
「…」
…小さく息が吐かれる。


また。護れなかった。


天井に向けていた目を覆う様に腕は乗せられる。
微かに聞こえた鳴き声は、今にも消え入りそうだった。











…不甲斐ない。


頭によぎる言葉。






バエル一族の名に恥じぬ様…


記憶が舞い戻る。






ねぇ、ねぇってば!!


幼き時の記憶。
その泣き声には悲哀が灯り、次第にすすり泣きの音が頭の中に響き…






嗚呼、そうだ。



――”この時”から、私は、私を閉ざしたのだ。











「…」
ゆっくりと身を起こせば、狐の老婆と人間の少女が横になっていた。
起こさぬよう、そっとテントの外に出る。
…見えたのは偽りの太陽。
闇を裂き、光を辺りに照らし…




…私は、護りたい。





新たな始まり。
だが、その思いは、本当にこの猫の想いなのか。
それすらも曖昧なまま、歩き出す。
ただ、それを信じることでしか、生きて来れなかったから。

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「にゃんとか…ですか」
「うん。新しい力が使える様になってて良かったねっ」
小さく息をついた猫に、仔竜が皆が無事だったことに嬉しかったのか、明るい声で返す。
その猫の視線の先には黒い毛並みを持つ狼…
しかし、やはり疲弊していることには変わりはなく。
「やはり、移動しにゃがらではきつい物がありますでしょうか…」
鎌の刃を仕込み直せば、腰へと戻し、もう一隊の方を見やる。
「彼方も終わった様です…参りましょう」



遺跡に入ってから、三日が経った。
既に疲れの色が見え始める。
テントの中で摂れた休憩でさえ、激しい戦闘にて程なく倍になって返ってくる…



「少し…足を、早めましょうか?」
詳しい地形が分からぬ遺跡の中で、視界に入ったのは三叉路
山が連なる道に、自然の色が見えた道。
どちらに進むか、と考えた結果…




「…森、ですか…」
平原を越えれば、森が目の前に広がっていた。
しかし、休憩しようにも、テントを張るには場所取りが遅く…
「中で、張るしかにゃいでしょうか…」
「…うむ。少し、危険かもしれぬが、の」
皆が頷けば、その一歩を踏み出す。
それが…大きな勇み足だったとも知らずに。


その理由が分かる理由はすぐに訪れた。
「…囲まれていますか?」
「ウン…サンビキ…ダケド」
しかし、その気配からは…殺気によく似た…威圧感。
今では、敵わない…そう、感じさせる様な…


「グルルルルゥ…」


…がさっ。
茂みから出てきたのは一匹の虎…
がさがさっ。
後方から現れたのは二匹の鹿。
「…お前達は、ふさわしいか?」
その声には何かを試す様な口ぶり…
しかし、その現状は友好的とは言い難い。
「…」
猫は辺りを軽く見回し…
「…危うくにゃったら…逃げましょう」
そういうと、腰から棒を取りだした。
「私は…楓殿と前方の虎を相手します」
…小さく息をつく狐の老人に、皆は目を向けるが…
「この中で、一番強いのはあの虎、でしょう…にゃらば、個々の能力が高い者を当てるべき…違いますか?」
「…ふム…確かニ、角ノ攻撃は一直線デスが…爪ダと、他ノ人モ巻き込みマスか」
死人の研究者の声に、小さく頷けば棒を構える。

「楓殿…ご無理は為さらずに」
「お主こそ、の」

シャキンッ。
棒から出てきた仕込み刃は木漏れ日を反射し…銀色に光った。

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「…ふぅ…」
猫は小さく息を吐くと、黒狼の方へと視線を向ける。
「…ご無事、ですか…?」
「ウン…マダ、ダイジョウブ、ダケド…」
肩を上下させながら言う黒狼の言葉は呼吸混じりで…
「…申し訳ございません…私はあまり動かにゃい方が攻撃も分散されたでしょうか…」
少し、視線を落とす猫に、黒狼は言います。
「…ネレバ、ナオルヨ」
其の言葉に猫は押し黙ることしかできませんでした。



…力が欲しい。
そう思ったのは、何度目であっただろうか。
しかし、翼亡き者が天に向かって手を伸ばす様に…
其れは、とても儚く、滑稽な願いであっただろうか。



「…」
「ふむ…?表情が冴えぬの」
…テントの中。
女性陣は女性陣で固まり、男性陣は男性陣で固まっていた。
そんな中、猫一匹だけが浮かない表情をしていれば、気になる者は気になってしまうのは道理のこと…
「…いえ、私は…騎士です。護るべき為にあるはずにゃのに…フスハ殿を、危険にさらしてしまった…」
横になりながら、テントの幕を見つめる水色の瞳。
其れを見ながら九尾の老婆は言った。
「…何、最初から完璧な者などおらぬよ…お主、修行をつんでいるのじゃろ?」
微かに頭を揺らすのを見れば、小さく笑った。
「ならば、高望みせん事よ。するので有れば、強くなるべきだからの」
…全くの正論に、猫はやるせなそうに瞼を閉じ…



次の日は、もっと。上手くやるのだと。
そう、心に誓った。

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「…この島が…False Island…通称、偽島。ですか…」
一匹の猫が船を降りる。
手荷物は中身のないポーチに、仕込み刃が施された棒きれ。
この島に至り、遺跡の中にはいる為の招待状…
そして、鎖が切れてしまったオルゴールが付いた猫のペンダント。
船の中、ずっとこのメロディを聴いて心を落ち着けていた。
この島にはロア家の猫は居ない…
助けて欲しかろうが、確実というモノはなく、ソレは運に任せるのみ。
「…」
しかし、この島に来ることを志願した猫にとっては、醜態をさらすわけにはいかなかった。
ロア家の為ではなく…バエル一族の為に。
「まずは…合流、しなければ…」



魔王の黒猫の言葉が蘇る…
「んにゃー…そうだにゃ。リィゼ」
「はっ…」
片膝を付き、頭を垂れる猫に金色の瞳は視線を向ける。
「ニャー達、ロア家と密接な関係のある…唐草九柳、は知ってるかにゃ?」
「は…名前だけは、存じております…」
「んにゃ、九柳の師匠、楓…霜月楓がちょうど島に行くらしいニャ。モノのついでに頼んでおいたにゃ」
「…」
時々、魔王の人脈というのが分からなくなる。
帝王学を学んだわけでもない、そして、上に立つことを決めたのは力があるから。
それだけのハズなのに、この魔王は決して相手を裏切ろうとはせず、またその人脈を残そうとした。
「…楓は体術に長けてて、闇の力を扱う事が出来るにゃ…少にゃからずバエル家の戦い方の参考ににゃるはずにゃ」
「…!」
まさか、魔王の口からその言葉が出ようとは。
バエル家は虎視眈々と上の地位を狙っていた。
上の地位に至るには力が必要…つまり、塩を送っているのだ。
「何故…」
…金色の瞳が少しだけ騎士猫を見ると、視線を時計台の外へと向けました。
「にゃんで、って。リィゼがあの島に行く理由がそれぐらいしか思いつかにゃーし」
「…」
…魔王は全ての猫を把握しているとでも言うのだろうか?
リィゼは確かにバエル家ではある。
しかし、若い猫で…魔王との面識も少なかったはずだった。
「それに、もーそろそろ、他にも強い猫が居にゃーと、ニャーもゆっくり出来にゃーし…にゃー」
ふぁ、と欠伸をする姿は、とても魔王にはほど遠い…黒猫の姿だった。


…メロディが流れる。
その甲高く、ゆっくりと奏でる音は耳に付く。
しかし、其の旋律は聞き慣れないながらも騎士猫にとっては平穏をもたらすモノだった。
一つの記憶を思い出せば、その後の記憶が思い出される…


「ふむ…」
二匹の老いた猫は騎士猫の言葉に小さく唸りました。
「偽島…アソコで三代目魔王は成熟したと言われておる…」
「寧ろ、この機会はチャンスと言えるのではにゃいか?」
二匹の猫は、騎士猫の方を見ずに、二匹の間で話を進めます…
「うむ…アリィゼや。行ってくるが良い…」
「しかし、アリィゼや。分かっておるにゃ?」
ようやく、二匹の猫が騎士猫の方を見た時には、其の瞳には何が映っていたのか…
「ロア家として…否、バエル家として…」
「恥ある行動は避け、騎士としての誇りを持て」
…一族の保身。己が何も出来ないのに対し、子孫には高望みする…
騎士猫は小さく頭を垂らした。
「はっ…」



「…しかし…」
賑わう人混みの中、猫は視線を落としました。
「私は…一体、何の為に…」
一族の為なのだろうか。
それとも、自分自身の為なのだろうか。
強くなる為の理由。
ソレが曖昧になっていた…
「…早く、見つけにゃければ」
顔を上げると、辺りを見回し…合流する予定の者達を探し始めた。


「…おや、主かの?」
声をかけられたことに気付けば、
「あなたは…」
其の目先にいたのは…頭に狐の耳が生えている、老いた女性…袈裟を纏っている…が居た。
「ん、霜月楓。初めまして、じゃよ」
探していた人物の名前に、猫は一礼し、
「…初めまして。魔王様から名前を伺っております…」
顔を上げると他にも集まっていた者達にも目を向ける。
「アリィゼ・バエル・ロア…と申します。よろしくお願いいたします」
「ふむ…」
そんな猫を見て、狐の婆さんは小さく呟きました。
「…以前会った猫とは、雰囲気が違うのぉ…」





…カチン。
辺りに流れていた旋律が止まった。
小さなオルゴールをポーチの中にしまうと、ゆっくりと立ち上がります。
「…宜しいですか?」
猫の見る先には他のメンバー達が…
「うむ。Nightly Campers…」

――夜の野営者…

「参ろうか」






初めの一足は左足。
そのまま南へと向かい…平原にさしかかった頃、皆の足は緩やかに遅くなっていき…
「…ここら辺で、テントを立てましょうか」
皆が頷けば、ソコが野営地となるのでした。




…薪となりそうな木を集め、放射状に広がらせるように置く。
火打ち石を使い、紙に燃え移らせ…火を付ける。
仄暗い闇の中、焚き火の光は辺りを照らしていた。
「…サテ…」
闇に溶けるような黒い毛並みを持つ狼…が辺りを見回します。
「ヤッパリ、カコマレルミタイ」
「まぁ…明かりがあれば、ソレにたかってくるのは道理ですから」
そういうと、猫は棒を取りだし…


しゃきんっ


仕込み刃を出し、鎌の形状へと姿を変える。
「さて…前後…で、分かれましょうか」
「ええ。ちょうど人数は同じのようですし」


「もっさぁぁぁぁぁ!!」


闇の中から襲いかかってくる動植物たちを迎え撃つように鎌を振り上げた。

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――時計台のあるレンガ街…


「さて…どうしたモノかにゃ?」
時計台の最上階。
皮のマントを羽織った黒猫が言いました。
向く先には…闇の中に映える12個の輝く瞳。
「ええ…ミュリィは、次は北国に行くそうで…」
間延びした声が聞こえると、同調したように他に声が聞こえます。
「いやはや。我々猫というのも難儀にゃモノですにゃ」
「そうですにゃー。あたしももーそろそろバカンス行きたいにゃー…にゃーんて」
「巫山戯にゃいでください。招待状を受けとった以上、誰か猫を出さにゃければにゃりません。ココで逃げたとあっては…ロア家を叩こうとする輩が増えるでしょう」
「んにゃー、それでもにゃ、誰か居るかニャー?」
凛とした猫の声が聞こえると、皆が押し黙ってしまいました。
そんな中、黒猫…は、闇を見つめます。
「それにゃらば…」
キリッ、と視線を鋭くさせて言いました。
「ニャーが行く!」
「「「「「「いけません!!」」」」」」
闇の中から聞こえる六匹の声。大合唱セール。
「あのにゃ、魔王様。あんたが行ったらココを誰が護るんですか!」
「ニャー達にばっかり雑務を押しつけにゃいでくださーい!」
「それに、あの島に行ったら、力の枷が働くと言うではありませんか!!」
ぶーぶーぶー。
ブーイングがひどい12個の瞳。
魔王と呼ばれた黒猫は溜め息をつきました。
「…だって、ニャーも遊びに行きたいのにゃー…」
いじいじ。
しかし、皆は容赦はありませんでした。
「「「「「「ミュリィが行ってる間、温泉に行ってたでしょうが!魔王様!!」」」」」」





…時計台ではすったもんだしていたのですが。
所変わってレンガ街の一角にある、古びた洋館では…
「はぁぁ…」
溜め息。
「はぁぁぁ…」
溜め息。
「「はぁぁぁぁ…」」
溜め息。
幸せが逃げますよ?
「しかし、我ら、バエル一族の血も…すっかり薄くなってしまった以上…」
「魔力ではロア家の中では劣ってしまう、かにゃ…」
二匹の老いた猫が顔を合わせると、溜め息と共に…今後の話をするのでした。
「我々が最盛期だった時、ロア家の中の血筋も最盛期だったとは…」
「しかも、バエル一族はその後衰えていく一方で、ロア家は衰える所を知らにゃい…」
「「はぁぁぁ…」」
二匹は溜め息をつくと、肖像画を見るのでした。
その肖像画には、漆黒の毛並みを持つ細身の猫…
闇を纏い、その手には血塗られた鎌を持っていました。
「…ご先祖様には、にゃんと言えばいいのか…」
「せめて、先代と同じく、六猫柱の座に帰らなければ…」



六猫柱…
この街では、魔王が支配…統治しているのです。
魔王に仕える…この街に住む猫達の中で、最も強い猫。
その六匹が六猫柱と呼ばれているのでした。

この、バエル一族…
初代魔王の時の六猫柱の一人だった為、その血筋は優れたモノと誇っていたのですが…
今ではその栄華も見る影もなく、イマイチぱっとしないのでした…
このところ、六猫柱にすげかわろうとする、野望を持った猫があまり居ないこと…
この六猫柱が強すぎること…
以上のことにより、六猫柱が変わる気配はないのでした。
しかし、この猫達…バエル一族は野望を持っているのでした。


…でも、実際は…ご先祖様の力は見る影もなかったのでした。


…さて。ココで島から帰ってきた猫のお話に戻ります。
テンガロンハットを被り、赤い髪を後ろで結った猫は、三人と一匹を後ろに付けさせて、その猫は歩いていました。
「ふにゃー…にゃ、懐かしいニャー」
目を線にしながら尻尾をくねらせる猫に、後ろを歩くバンダナを巻いた青年が言います。
「なぁ、本当にこの街にオメーより強いのがいるんだろうなぁ?」
「にゃにゃ、大丈夫大丈夫。その点に関してはバッチリニャ」
にゃはははは。笑う猫に青年はふん、と小さく笑い…
「ミュリィ」
紅い目を持つ金髪の少女が呼びかけます。
「にゃ?」
「大甲虫が、もさを食べようとしてるのですが」
…後ろを振り返ってみれば緑の髪の少年の上に乗っかっている大きなカブトムシの姿が。
「にゃー!もさは食べちゃダメニャー!」
がりがり。
針を何度も刺そうとしますが、猫の力が弱いのか、それともカブトムシの殻が固いのか…はたまた両方か。
その甲殻の上を針が滑る程度に終わるのでした。
「ったく」
青年が溜め息と共にカブトムシを持ち上げます。
…その、身体よりも大きいカブトムシを。
カサカサ動くカブトムシに、一同は深く安堵の息をつきます。
「…もう、もさも大甲虫に負けるほどやわではないでしょう?」
「もさー…」
助けられた少年は埃を払いながら項垂れます。
「じゃ、気を取り直して行くにゃ」
「って、おい。オレ、コイツ担いだままかよ?」



そんな一行の行く先から猫が一匹歩いてきました。
「ぁ、アリィゼ♪久しぶり、にゃーん♪」
赤毛の猫が声をかけると、声をかけられた…
金色の毛並みを持ち、要所しか護られていない鎧に身を包んだ猫…
が、おや、と目を向けます。
「ミュリィ、ですか…お久しぶりです」
一礼すると、後ろに居る三人と一匹に目を向け、
「…その方々は?」
「ぁー、ニャーの僕、にゃーん」
赤毛の猫はへらへらと笑いますが、約1名、冗談じゃない、といきり立ちますが…隣にいた少女に腕の肉を抓られ、すぐに溜飲はおさまったようです。
鎧を着た…騎士猫は目を丸くして言いました。
「…僕?ミュリィ、に…?」
普通なら驚くでしょう…
元々、この赤毛の猫は戦う気も、鍛練する気もない、いわば非戦闘員みたいな猫だったのです。
ソレなのに。
今では僕を従えるほど強くなっている、という事なのですから。
「…ミュリィ」
「にゃ?」
騎士猫は小さく震えながら言いました。
「…お手合わせ、願いたい」
「にゃにゃ?」
赤毛の猫は目を丸くします。
「確か…前は、私の方が強かったはず、です」
「んにゃ」
「もし…その力が本物ならば。どうやって手にしたのかを、私は知りたい…!!」
しゃきんっ!
腰から腕ぐらいの長さの棒を取り出すと、何か仕掛けがあるのか、細い刃が飛び出し…
騎士猫は赤毛の猫に飛びかかりました。

…捕らえた…!!

「ひゅっ…にゃー、危にゃいにゃー、もう」
「…!?」
確かに太刀筋の先にいたはずの猫は既に後方に着地しており…
与力で振られた刃は空を斬る。
「…確かに強くなっているようですね…!」
更に踏み込み、もう一度刃を振る…
しかし、やはり刃は赤毛の猫を捕らえることなく空を斬ります。
「ふにゃーん…にゃ、やるってゆーにゃら、容赦はしにゃいけどにゃ?」
赤毛の猫は、一度拳を作り…もう一度拳を開くと、指の間から針が飛び出しました。
「ハルシネイション!」
魔力が帯びた針は、騎士猫に刺さり…
「…っ!?」
騎士猫は違和感を覚えました。
頭が、ぐらっ、とし、視界がぼやけ…
「遅いにゃー、もーいっちょー」
ヒュッ…ヒュッ。
「くっ…ぁ…っ!!」
どんどん針が刺さり、気が遠のいていき…



「…気がついたかニャ?」
「ミュリィ…?」
騎士猫が目を覚ますと、目の前に赤毛の猫が居ました。
「…私が…負けたのか?」
「にゃにゃ、その様だにゃー」
赤毛の猫は立ち上がると、頭の後ろで腕を組みます。
「…どこで…」
「にゃ?」
「どこで、そんな力を手に入れたのですかっ!?」
騎士猫は赤毛の猫を見上げ、問いかけます。
「私は悔しい…今日という今日まで、私は、鍛練を続けてきた…それでも、一度は勝っていたあにゃたに負けてしまう…!」
そこまで言うと、視線を落とし…
赤毛の猫は視線を虚空に彷徨わせ…騎士猫に戻すと、
「…にゃ。まぁ、ニャーは今度は北の方にバカンスに行きたいしにゃ」
へらりと笑うと、目を細めて言いました。
「にゃ、実はニャ…」






「魔王様」
「にゃ?」
いじけていた黒猫に、白猫が声をかけました。
「一匹、島への探索を希望する猫が現れました」
「にゃにゃ?ホントニャ?」
「ぇぇ、その猫は…」



こうして、騎士猫はこの島へとたどり着いたのだった。

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HN:
ENo920PL
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非公開
自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

リンク、アンリンク勝手にどうぞー。
万一リンクしていることが発覚したら何かの呪いの装備の如く相互リンク致します。
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