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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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―――某日。遺跡外にて、温泉が発見されました。
そびえる山々、深い峡谷、たちこめる霧。
俗に言う秘境、と呼ばれてもおかしくない所に、ソレは発見されました。

遺跡内を探索している時はまず風呂に浸かる、なんて事は出来ません。
その知らせは、冒険者の耳にも簡単に入ったようでした…

そんな中、その温泉のスタッフの他に、もう一つ…
一風変わった募集があったのでした。

…警備。

確かに、この島では奇怪な輩が出るのが半ば日常茶飯時と成っている次第。
そんなのが入浴中に出てくると思えば、気楽に入浴なんて出来るわけ無いですよね。
私もそう思ったんです…しかし…

 

その警備って。
対覗きの為だったんです。

 

…しかし、警備には変わりありません。
しかも、警備終了後には、従業員や警備の者に解放してくれるのだとか…
まぁ、後者はオマケなのですが、私はこの警備に名乗りを上げたのでした。
…決して、オマケの為ではないのです。

 

 


「…で…」
…今、私を護っているのはクロースアーマーではなく…
「にゃんで、こんにゃ格好をしているのでしょう?」
「それは、温泉《ここ》にバニガセットがあるからさー」
素朴な疑問に、人狼の少女(?)が屈託のない笑みで返答してくださいました。
どうもありがとうございます…


…少し、時間を遡ってみてみましょう。
警備担当の方達の顔合わせが済み、女湯の方へと廊下を歩き始めます。
「…それにしても…にゃんで、覗きをする気ににゃるのでしょうねぇ…」
丁度、同じ方向を歩いている…線目の男性…警備担当の時読来世殿に話しかけました。
「全くですねぇ…一体、何が楽しいんだか」
彼は小さく頷いて息をつきます。
「この温泉に来るのは冒険者にゃのでしょうし…見つかったらまず痛い目を見るのが明らかですのに」
「きょにぅなんておぞましいモノを見て、一体何考えてるんでしょうねぇ」

「…ん?」

「では、リィゼさん、私は彼方の方を警備しますので」
「え、ぁ、はい…」
…何だか、変な言葉が聞こえた気がするのですが、気のせい…だと、その時私は思いました。
思ってしまいました。
今思えば、これは私の心の弱さなのかも知れません…反省要項です。
現実を見るのは大切な事。
この警備を通して、学んだ事の一つです。

…話を戻しましょう。
私は、来世殿と別れた後、廊下一帯を歩いて警備する事に致しました。
外は皆様が警備している、と言うのもありますし…
スタッフの方々が居るとは言え、忙しくなればその注意の目も緩くなるだろう、と思ったからでもありました。
「そこの猫のお姉さーん」
…誰かが呼びかける声。
辺りを見回してみれば…柔らかそうな髪に、犬系の耳を生やした…バニー姿の少女(に見えたのです)が誰かを呼んでいるようでした。
しかし…私の他に、猫の耳を持つ方や、猫の方は居なくて…
「そうそう、お姉さんの事ー」
少女(?)の方に目を向けると、此方の方を向いて頷きました。
「…はぁ、にゃんでしょう…?」
「牛乳ありまーす。如何ですかー?」
そう言って、持ち上げるのは牛乳瓶…種類も、牛乳の他にコーヒー牛乳やフルーツ牛乳…他にも何だか色々あるようです。
しかし、私は警備中の身…ましてや、ソコまで喉も渇いていませんでした。
「いえ…今、私、警備中ですし…」
客だと思って話しかけてきてくれたのなら、申し訳ない…と、頬を掻きます。
しかし、彼女(?)も引き下がりません。
「じゃ、イザという時の為に10フィートの棒とか丈夫なロープとか如何ですかー?」
…思わず、口元が引きつるのを感じます。
何でそんなモノを売っているのでしょう?
些か疑問ではありましたが、深く突っ込んではいけない事だとその時思いました。
これは…まぁ、聞かなくて良かったかも知れません。
「ぃ、いえ、私、得物は持ってますし…」
しかし、棒で冒険者の覗きを止めれるとは思いませんでしたし、縄で縛るので在れば、相手を気絶させてから…
気絶させたので在れば、従業員の方を呼べばいいか、と言う事で特に必要がなかったのでした。
あまりに道具を持ちすぎて、機敏な覗きを逃がすのもダメですからね。
そう答えると、少女(?)は、少し考える素振りを見せました。
「…じゃ、さ」
何かが思いついたのか、顔を上げると指を一本立てました。
「その格好じゃ覗きも警戒しちゃうだろうし、みんなが着てる服を着たらどうかなー?」
「…」
…これが商売魂、というモノなのでしょうか。
ですが、今度の申し出は確かに一理あるモノで…
「貸し出しは無料だからさー」
にこにこしながら言う少女(?)に、遂に私は首を縦に振ってしまったのでした。

 

「…」
こんな経緯でした。
「お姉さんにウサミミ着けるとカオスになるだろうからー、ウサミミとうさ尻尾は無しのヤツ選んどいたからねー?」
「…わざわざありがとうございます…」
私は溜め息をつきます。
どうしてまた、こんな露出の多い服装を着る事になってしまったのか…
「似合ってるよー、猫のお姉さーん」
「…ありがとうございます…」
…嬉しいとは思うのですが、如何せん…
露出が多い。
気恥ずかしさだけが募ります。
「大丈夫大丈夫、みんなも着てるからー」
「…着てにゃかったら、真面目に着ません…」
がっくり、と項垂れてしまいました。
そんな私を、笑顔で手を振って送る少女(?)。
また、何かノリで圧されてしまった気がします。
なんと言いますか。ミュリィに通じるモノがあると言いますか…

「…?」
なんと言いますか。
立派な体躯に、槌を背負い、掃除をしている女性が…知り合いに見えてしょうがありません。
「えっと…ソニア殿?」
「…ああ…リィゼか」
素っ気ない返答。
しかし、それは確かにソニア殿でありました。
ただ、何時もと違って見えたのは、その身に纏っているのがバニー服だからなのでしょう。
「ソニア殿も…あの方に頂いたのですか?」
「…」
問いかけに対して戻ってくるのは沈黙。
「えっと…」
「…答えたくない」
ようやく声が返ってくれば、それは素っ気ない拒否。
「は、はぁ…」
黙々と掃除をしているソニア殿に、私はそう言うしかありませんでした。
「と、ともかく、怪しい人物を見かけましたら、尋問しておいてくださるとありがたいです」
「ああ」
「で、では…」
触れてはいけない事だったのでしょうか。
なんだか、いつもよりも言葉が少なかったのでした。

 


「…しかし…」
私は、ついつい言葉を漏らしてしまいます。
「こんにゃ格好で歩き回る、と言うのは、厳しいモノが…」
特に、周囲の方の目が痛い。
そう、私は思います。
すごく、思います。

「…ふふ…」
「…?」

もうすぐ豊胸の湯につく…と言うところで、見覚えのある後ろ姿が…
「…来世殿…?」
あの後ろ姿は確かにそうだったのです。
ですが、何故、彼がこんな所にまでやってきているのでしょう?
ココまで来てしまっては、御客様から見たら、彼が覗きだと勘違いされてしまうのでは…
そう、思った矢先でした。
「嗚呼、あともう少しで、ぺったんな女の子が…あああ、ぺったん良いなぁ、ぺったん」
…正に、どぅふふふふ、と言う笑い声が合いそうな声色でした。
私は無言でピッカーズサイズ…仕込鎌を取りだし、刃を出します。
「嗚呼、今は誰が居るでしょうねぇ…―――さんでしょうか、それとも…―――さんでしょうか」
…何やら、女の子の名前らしいですが、良く聞き取れません…
私の知らない方だからかもしれませんが。
少なくとも、今は関係ない事です。

 

何故ならば…今、重要なのは、彼が、覗きだという事。

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 色付く木の葉達に、人々は見上げ。
そして、穏やかな空気は至福の時を紡ぐ。
もうすぐ来る死の季節。
白い雪が全てを覆い尽くす前に。
人々は、なにやら…木の葉達が見守る中、市場を開いているのだった。


―――。

「賑わっていますね…」

フリーマーケット。
其の言葉に惹かれ、歩く姿にしては少々違和感を覚えるだろうか。
身に纏うのはクロースアーマーとガントレット、そしてヘッドガード。
その姿はどちらかというと警備をしている、と言った方がしっくり来るかも知れない。
しかし、本人…
いや、黄色の体毛に、ヘッドガードから覗く耳は、人ではないのだが…
は、その様なつもりはないらしく、足取りも軽い。
市場を歩いていると、色々な商品があった。
ソレは、目を楽しませてくれたり。
人々の笑みに自然とつられて笑みが灯る…

「ん?」

やがて、大柄な男が並べるには、些か小さく見える装飾達に目が止まる。
足を止めた猫に気付いたのか、

「いらっしゃい」

男が此方を向いて笑みを向ける…猫は目を丸くした。
その様子を、商品に向けられたモノと勘違いしたのか、男は笑いながら装飾を手に取った。

「え? この指輪は何かって?
 少しばかり魔力を込めて作った魔除けの指輪…ってトコだな。」

…どうしよう。
元々、見て回るだけ…ましてや、この様な華やかな装飾の前で立ち止まるつもりはなかった。
しかし…何故だか。
周りで紅葉に負けないくらいに着飾った少女達を見ていると…
少し躊躇したモノの…膝を曲げ男と目線を合わせた。

「緑色の石はもともとは武器や防具を作るのに使う石なんだが、
 色見が良いのと自身の力を強めるとか言われていて戦士が身に着けたりしている品だ」

濃い緑色の石が嵌った、少し大振りの指輪を見せ男は言った。
猫は小さく頷く。

もし、頂くので在れば…
この島に来ている理由。
ソレを考えれば、と。猫は思っていた。

しかし。
男が鮮やかな…紅い色の石が嵌った華奢な指輪を見せた時であった。

「紅いのは石はうちの故郷じゃ女の子がよく身に着けている。
 恋愛の運気が上がるとか上がらないとか…」

「…恋愛…?」

「ああ」

不意に声が漏れる。その言葉に、男は小さく頷く。
話を黙って聞いていたが、まじまじと赤色の石を見つめる。
しかし、緩く頭を振って…視線を男に戻した。

その様子に、まだ話を聞くつもりだと思ったのか。
はたまた、何かを感じ取ったのか…
男は話を続ける。
深い茶色の中に一筋の白い光彩が入った石。
その石が嵌められ、細かい細工が施された指輪。

「この茶色の石は、純粋に魔除けとして身に着けられている」

ふむ、と小さく頷いて。
先ほどの様子を誤魔化すように、猫は言った。
内心、戸惑っていた。
なんで、あのような言葉に反応したのだろう、と…
説明が終わったのか、ニコリ、と笑いかけてきた男に、

「其方の、エメラル石…の、指輪を頂けますか?」

視線を男からは緑の石に移し…深緑の石を指差した。
折角、この様な場が設けられたのだから、何かを交換しなくては。
そう、どこか正義感のようなモノがあったのかも知れない。
しかし、どちらかといえば…この、猫には未だ分かっていない感情が支配していた。

「そうですね…」

何か、交換するモノはないか…
確か、岩塩の欠片は…嗚呼、宿か。
しかし、簡単にPSとで交換してしまって良いモノか…

…そう言えば。

ちゃら、と小さく金属が鳴る音。
男に差しだされたガントレットの掌に、小さな八方体の金属…に、細いチェーンが付いていた。
視線がペンダントに行くのが感じられると、猫は言葉を紡ぎ始める。

「このペンダントはオルゴールになっていましてね…」

何か仕掛けがあるのか。一つの面に軽く触れると、カチリ、という音と共に…
甲高い音ながらも、大人しい旋律が辺りに流れ始めた。
男の目が瞬かれるのが見えれば、視線を掌に戻す。
…もう一度、面に触れるとカチリ、という音と共に旋律は途切れた。

「…私の街の猫が作った物です。
 空気中の微量のマニャで音が鳴りますので、手入れは特に必要在りませんし…
 このオルゴール自体にも対魔術式がかけられておりますから、
 よほどひどい衝撃を与えにゃければ、半永久的に動き続ける、との事です」

…この島に来る前に、猫達の露天で買ったモノ…そう、この様な市場みたいな。
その猫は、少々変わっていた。
猫にしては人間の持つ技術に精通しており、自前の魔力と共にこんなモノを作ってしまう。
しかし、毎回作るモノは戦闘には関係のないモノばかり。
…元々、争いが嫌いな猫なのだ。
否、そう言う猫が街には多く住んでいる。
力を持ち、街を守ろうとする猫は少数…なれど、その一匹一匹が粒ぞろいなのだ…

だから。
猫は、この島にいる。
劣等感を無くす為に…

毎日、一匹だけで勉強をした。
毎日、一匹だけで訓練をした。
いつも、いつも…
寂しかった。
家族が気にしたのは、彼女の能力だけ。
上に行けるか。イケナイか。
家族が気にしたのは、家の名声だけ…

寂しい夜は。
この、オルゴールの旋律を聴いた。

だが。


視線をオルゴールから目の前の剣士に向けると、軽く首を傾げた。

「…いかがでしょう?
 殿方にはあまり興味が無い物かも知れませんし…PSの方も用意できますが」

男は其の言葉にオルゴールを手に取り、何やら吟味を始める。
その様子をじーっと見つめていたが…
先ほど言った言葉。
殿方には…
その場合、断られるかも知れない。
もしもそうなった場合、PSで払おうか。そう、ぼんやりと考えていた。

しかし、男の返答は猫の予想していなかったモノだった。

「…姐さん、こりゃ良い物過ぎる。」

「…え?」

困った顔をして溜め息をつく男に、猫からは気の抜けた声が漏れる。

「こんな精巧なカラクリ仕掛けの品だと、指輪1つの対価として
 いただくのはちょいと申し訳ないぜ。」

男が顎に手をやり考え込む。
その姿に、予想していなかった言葉に。
猫は弱ったように見つめ返すことが出来ず…
やがて、男は何かを思いついたのか、

「ちょっと待ってくれな。」

そう、後ろに置いてあった鞄の中を探り出す。
その様子を見ても、猫は目を丸くしながら見つめる事しかできなかった。

 

…じゃらじゃらと何かが金具がこすれる音が辺りの喧騒にとけ込んでいく。
やがて、男が此方へと戻ってくる。
その手には…
確かに、並べられていた指輪に付けられていたハズの紅い石。
…否。
また、新しい装飾…耳飾りだった。
猫が目を瞬かせる様子に、男はクリップの部分を持ち、猫によく見えるようにイヤリングを差し出す。
クリップに取り付けられた石のパーツが揺れて、赤い石は光を弾いてキラリと光った。
その小さな光を見た時、先ほどの気持ちが思い返されてきて…何かが胸にこみあげてくる。

「古い品で…しかも片方だけしかないが、コレも付けておこう。
 オレの故郷で割と名の通った鍛冶屋が作ったモノなんだが…。」

「ぇ…あ、あの、しかし…」

古い品。そして、名は知らぬが名の通った者の作った品。
それでは、此方の対価の方が安くなるのではないか。
それに、私は…
口を開く…が。

「この赤い石は姐さんの毛色にとても映えて似合う筈だ。」

二つの装飾を包みながら男は言った。
猫が言葉にするよりも早く、緑石の指輪と緋色の石は小さな布の中へと姿を消していたのだった。

「貴女の進む道に、善き風が吹く事を心より願う。」

「…」

差し出された包み。
確かに向けられた旅路の無事を祈る言葉。
…私は…
少し躊躇ったモノの…包みを受けとると、ゆっくりと立ち上がった。

「…ありがとうございます。貴方の行く先に、幸多からん事を」

頭を下げ…顔を上げた時には笑みを携え、暫くの間男を見つめていた。
男は嬉しそうに笑い…何かを呟く。
しかし、その声は雑踏や喧騒に紛れ…
やがて、猫は人の流れに乗りその場から離れた。

 

「…ニェギアにこの話をすれば喜びそう、ですね」

街に住んでいる、ペンダントを作った猫。
正当な評価を人間から得られたと在れば、彼は喜ぶだろう、と。
暗くなり始めた空を見上げ呟いた。
ふ、と、包みから装飾達を取り出す。
…紅い雫を見やれば、その目は微かに細くなった。

「…確かに…私は…騎士、修行の為に、この島に来たはず。
 にゃのですが…ね」

しかし、猫は感じ取っていた。
確かに、あの言葉を聞いた時にわき出た感情。
これは、騎士としての感情ではなく。
雌としての感情。
今まで封じられてきた感情…

「…この島に来てから…」

猫は小さく笑った。
この島に来てから、確かに。
力だけではなく、違う何かも育っている事を…
感じ取っていたのだった。

紅い雫を左耳に着けると、その違和感…に、恥ずかしげに小さく笑んで。
深い緑の指輪は掌の上に乗せ。

「…楓殿に鎖を作ってもらいましょうか…」

そのガントレットの上では着けられないから。
小さく息を吐き、宿へと歩き出した。

 


もう、独りで旋律を聴く必要はない。
何故なら。

助け合える…守るべき、仲間が出来たのだから。

拍手

 …島に来て。
既に、二週間以上が経過した。
かれこれ、前任の猫が来て、その身を強化した日程としては、既に1/2を終了している。


この島に来てからと言うもの、私は街に居た時よりも多くの経験をしている。



任せられた詰め所で、他の騎士との話を聞いたり。

実際に、練習試合として己の力を試したり。

闘技大会と呼ばれる、招待者が運営している大会に出場したり。

姫…他の騎士と組んで、護衛を行ったり。

強者と対峙し、力を振り絞ったり。

負けを覚え、その悔しさを舐めたり。

共に行動することで、繋がりとは大きなものと感じたり。

いわゆる、遊び、というモノで、人々の笑顔を見たり。






「…」
必ずしも、力が全てではない。と。
他の冒険者を見れば、明らかだった。
街にて、上の位を目指すには力が全て。
別段、上の位で無ければ生きていけないと言うことはない。
ただ。
それは、家の高いプライドのせい。
「しかし…」
宙に浮かんで消えた。
光の球は、元々伝説と呼ばれた動物のモノだった。
「私は、強くにゃりたい…」
ぽつりと。
「その、笑顔を。護れるだけの、力は欲しい…」
例え、相手を飲み込む力だったとしても。
人との繋がり。
純粋に、戦いを求む者も居るのだろう。
もしかすれば、自分も…そうなのかも知れない。
「だけれど…」

「例え、外道の技だろうが。大切な”モノ”を護れる為に使えるのであれば」

手段は、選ばない。
だけれど。



己の描いた、信念だけは。
犯すつもりはない。





…どくん。
微かに鼓動が高鳴る。
猫騎士は気付いていないだろう…
その身体に、一つの可能性が生まれたことに。

拍手

 ――夏。

――賑わう遺跡の外で、夏の日差しに目を細めながら。

――買い出しに行き。

――依頼をしに行き。

――依頼を受ける。

――偽りの島とはいえど。

――夏の陽は映える。





――偽りの空。

――遺跡の中でも、同じように思う。

――だが。

――何故、外だと。

――こんなにも気持ちいいのだろう。





――ふと。

――空を見上げれば。

――精霊の尾が空にたなびいた。

拍手

――潮の香り。

――花火の色。

――夏の休暇…



「さて…」
翌朝。
その身は鉄の鎧を纏っていた。
休暇は終わった。
今日からは。
また、遺跡で探索し…修行するのだ。
「今日で魔法陣までたどり着けるはず…それで、今回の探索は終了、ですか」
久しいとは言えない。
しかし、闘技大会で相見える者は猛者揃い。
しかも、装備をちゃんと整えていた。
「…」
今まで使ってきた防具…武器を見る。
「これで、やってきたのですけど、ね」
感傷に浸っている暇はない。
強くならなければ、この遺跡で生き残れないのだ…



「少々、数が多いようですが…」
「ふむ…ま、今回で戻るしの。本気を出せばよいじゃろ」
頭数は相手の方が多い…
「しかし、グレーシャル殿を護らねば…」
「あまり、子供扱いしてあげるな、少年とは微妙な年頃だからのぉ」
かんらかんらと笑う老婆に、やはり、この人(狐)には勝てない。
そう思ったとか、思わなかったとか。

「…とにかく、目の前の敵を倒すだけです…グレーシャル殿、楓殿!ご無理は為さらぬ様!」
背負っていたバトルアクスを一振りすると、身体に力を込め始めた。

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プロフィール
HN:
ENo920PL
性別:
非公開
自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

リンク、アンリンク勝手にどうぞー。
万一リンクしていることが発覚したら何かの呪いの装備の如く相互リンク致します。
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