最終夜…その後（ifストーリー）

最終夜

――「　　　」




声が聞こえる。




フラウの声だ。




――「　　　」




安心したまえ。




彼女は…君に、会ってくれる。




私との出会いではなく、君との出会い。




ソレを、必然、と。してくれたのだから…




ソレよりも。




早く、目を覚ましたまえ。




外に出るのに、少々手こずるだろう？




その間に…




私は。




綾音と、最後のダンスを踊ってくる。




きっと。




現実でも。夢の世界でも。




私の出る幕は無いのだから。




…




何。元より、君が生み出した存在だ。




だが、ね？




願わくば。




埃が被っている私の欠片を。




気付いた時に、空の光に透かしてくれればいい。




君が生み出した、光に愛された淫魔は。




確かに…誰かが放つ光に。




愛されたのだから。










「さぁ。フィナーレと行こうか…フロイライン？」

第十七夜

…知っているかな？

不思議のアリス、と言う童話を。



…ぁぁ。良かった。

私は、その童話が大好きでねぇ…

居るだろう？

チェシャ猫…

そう、いつも、アリスの前に現れては意地悪をして去っていく。

あの、猫。





君は、あの猫は嫌いかな？

…ぁぁ。それは残念だな。

何故かって？





チェシャ猫は、アリスのことが好きなのだよ。





しかし。

彼女とは、住む世界が違ったんだ。






だけれど、彼女に自分の好意を伝えたい。

しかし、気恥ずかしさもあり。

だから…ちょっかいを出して。

困らせてしまうんだ。









…分からないかい？

夢の世界で。一緒にいようとして。あわよくば、精気を貰いたい…

私も、似た様な者なのさ。

第十五夜

夢の中で、私は思った。

友達がほしい。

ずっと、一緒に居れるような…




しかし。

皆、夢から覚めていった。

ある者は喜び。

ある者は悲しみ。

ある者は怒り…



ある者は。







私を。







犯した。









蹂躙するがための体温。

夢の中とはいえ、それは生々しく精神に伝わり…

大きな、波紋を呼び起こす。





…キモチワルイ…





何故、男はこうも色欲に狂うのか。

何故、力ある者は、か弱き者を守ろうとせず…

蹂躙する事を、望むのか。











夢の中での世界。

それは、現実ではない、仮初の世界。

しかし…

精神だけは、確かに存在するのだ。













だから…

私は、か弱き少女を助けたかった。

男に目を向けさせる事などさせたくない。

皆、私だけを見れば良い…












――私も、寂しくないから。

第十四夜

夢…

私は、動けない。

私は、喋れない。

私は、見れない。

私は。

夢…






唯一、私の残されたのは夢の世界だった。

夢の中でなら。

私は、動ける。

私は、喋れる。

私は、見れる。

だから。

私は、夢の住人となった。




愚かかも知れない。

でも。

夢の中でなら…

私は、なんでも出来た。

自由に動けた時ですら、出来なかったことでも…