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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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  みんにゃ たのしかったにゃ。
  また あえるのを たのしみに、してるにゃ?


  ついしん
  にゃーは ばかんすに いくけど…
  あとから、しまにくるねこは、このしまのこと、おどろくだろうから。
  いろいろ、おしえたりして、にゃかよくしてくれると、うれしいにゃ。


  びぃにも あえたし…まおうさまにも、おみやげばにゃしも できたし。
  あとは、ばかんすー!


船の上。
…赤髪の虎猫は、振り返り…

「…一ヶ月もアソコにいたんだニャー…」

毎日が激動だったあの島。
猫にとって、怠惰が主とし、また…穏やかな時間が好きだった。
しかし…

それ以上に、刺激的だった。

「…にゃにゃ、魔王様も気に入るわけだよニャー…島でのサバイバルに」

小さく笑って…

「じゃ、ご飯食べたら寝てー、起きたらニャーの街にゃ!」

彼女の連れに言うのでした。
時計台のあるレンガ街。
猫達が住む街へ…

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「立ち退き令?」
ソレは唐突に訪れた。
…話に寄れば、この遺跡が姿を変える…らしく、危険なので遺跡の中から早く出てこい、との事。
そして、遺跡には結構な時間入れない、との事…
「んにゃー…」
猫は頬を掻きます。
皆も、うーん、と頭を悩ませており…
猫も、本来の目的を思い出していました。


…元々、猫はこの島にバカンスに来たのでした。
生きる為の力を付けさせようとしたのは、魔王の裏の思考。
この猫に伝わるはずはありませんでした。
「…バカンスしてようかニャー…」
遺跡が姿を変えるので有れば、その間に他の島へバカンスをしに行く事も可能で。
猫は小さく呟くのでした。



…一方。
時計台のあるレンガ街…
六猫柱…六匹の強い猫達は集まっていました。
「にゃあ…ミュリィ、の居る…False Island…でしたかにゃあ…?」
間延びのした声。
ロシアンブルーがゆっくりと話しています。
「ぇぇ、そうですが…いかが致しましたか?」
六猫柱の中でも、リーダー格である白猫が青い瞳をロシアンブルーに向けます。
「にゃー…にゃんでも、遺跡が姿を変える為…立ち退き令が、出たらしいですにゃー…」
「立ち退き令…しかし、それが何か問題でも?」
「にゃー…ミュリィの事ですからニャー…」
このロシアンブルーは猫の兄である。
兄である故、妹である猫の性格や行動は大体分かっていた。
「違う島に、バカンス、しに行くんじゃにゃいかにゃー…と…」
「…」
「もしかすると…違う、猫を…回した方が…」
ゆっくりと喋る猫に、皆が沈黙する…
その時。

「話は大体分かった、にゃ…」

「ま、魔王様!?」
この街の夜を司る黒猫…三代目魔王が六猫柱に歩み寄ってきていた。
「まずは、ミュリィをこの街に戻して欲しいニャ…」
「そ、それでどうするのニャ?」
シャム猫が尋ねます。
魔王は金色に光る瞳をシャム猫に向け…
「…元々、ミュリィを向かわせたのは、自分で自分の身を護る為の力を育む為ニャ…充分にあると判断したにゃら、バカンスに活かせてもかまわにゃい、違うかニャ?」
静かに言う魔王であったが、有無を言わせぬ気配…魔力を感じる。
「…では、ニャルスに迎えに行かせます…」
白猫の弟である猫の名を口にすると、魔王は頷いた。
「…どうにゃってるかにゃー…」
小さく呟いたその言葉は、魔王らしからぬ…楽しそうな声だった。


「…立ち退き、ねぇ…」
バンダナを付けた青年は言った。
「…もさ…」
緑の髪を持つ少年も呟いた。
「とゆーわけで、ニャー達はどうするのニャ?遺跡の中に入れにゃーし、にゃーとの契約は無期限だしニャー」
「なんですとー!?」
青年が声を上げ、猫につっかかる。
「冗談じゃないぜ、オレはバカンスよりも…」
しかし、猫は何処吹く風。寧ろ。
「にゃ、ニャーの街に帰れば、ニャーよりも強い猫が沢山居るニャ…それでも嫌にゃ?」
に、と笑ってみせる猫に、青年は目を丸くします。
「…本当なのか?ソレ」
「にゃ。少にゃくとも、魔王様に六猫柱…の、七匹の猫には到底敵わにゃーだろうにゃ。パスでも」
「…」
…一気にクールダウンする青年に、猫は笑って、
「…もさはどうするのかにゃ?」
「…」
少年は少し考えましたが…
「行く…一緒に居た方が…安全そう…」
「決まり、だにゃ」
猫は尻尾をくねらせるのでした。

拍手

 「にゃはは、今回はニャーの勝ち、にゃー♪」
最後に立っていた猫は無傷で兎さんを倒していた。
今まで溜まっていたダメージの蓄積…先に離脱していた仲間達の攻撃があった故の勝利だったのだが…

…猫は嬉しそうに笑っていた。
少女も、又然り…

「…」
「…」
しかし、そういう時間もすぐに過ぎてしまうモノ。
大烏を退けると、砂蛸に刺しておいた針に反応が起きていた。
「にゃにゃ?」
砂蛸はぐったりしており、針は蒼白く光っている。
「…頃合い、ですか…?」
「んにゃ」
少女の問いかけに、猫は小さく頷く。
「…」
針を持つと、金色の瞳は細まっていき…
砂蛸から強烈な光が発せられた。


「…」
「…」
砂蛸が居たはずの所には、一人の男が立っていた。
バンダナを巻き、Tシャツにジーンズという軽い服装。
そして目つきが悪く、猫と少女…そして付き添いの少年にガンを付ける。
「…」
「…」
雑草の少年は覚えていたが…蜂の少女は震える事すらせずに紅い瞳でにらみ返した。
「…あなたは負けたのです」
「けっ…」
蛸の青年はようやく口を開く。
「三対一だろ?タイマンで負けたわけじゃねぇ」
三人を睨みつけながら棘を残す。
しかし、少女はその様子を見ても、態度を変える事はなかった。
「…いい加減、認めてはいかが?」
「んだとぉ?」
「ミルの使った黒墨…アレはあなたがもさに使ったのと同じ技。ソレを真っ先に当てられ…その後、ミルの幻術に”完璧に”引っかかっていた。それでも、タイマンならミルに…勝てると?」
絶対なる自信。
それを少女は持っている。
絶対なる信頼。
それを少女は持っていた。

何も言い返せなくなった青年に、少女は背を向け、猫に歩み寄った。
「ミル…」
…そう。
約束の時。
猫は少し視線を落とすと、指の隙間から針を取りだした。
「…びぃ…一段落、ついたら…どうかにゃ?」
その針は赤く染まっていて…少女に手渡す。
「ニャーと、一緒に。ニャーの街に行ってみにゃいかにゃ?みんにゃで」
その針を少女は掌の上で握りこみ、猫に微笑んだ。
「…再開した時、お返しします」
「にゃ?にゃー…別に、あげるのににゃ」
猫も小さく笑んで…

「…さようなら」
「…さよにゃら、にゃー」

ざ…
二人は背を向け…歩き出した。
猫は森へ。
少女は巣がある平原へと…



「あーあー…気にいらねぇ」
青年は愚痴をこぼしていた。
近くには哀れにも少年が居て…
「てめぇら、自分から戦う気、ねーだろ?」
「もさ…」
何かを言う事に、返事は!?とか色々言われるので、適当に相づちを打つ少年。
そんな少年の様子を気にせずに、青年は続けていた。
「この遺跡に入った異常、弱肉強食の理なんだよ。それなのに、何だ?あのやる気のねーアタックは。絡め手だけじゃ敵は倒せねぇだろ」

…ソレは、先ほどの平原を移動した時に出会っ動物と毒虫との戦いまで遡る。
猫と少年、青年…そして、三角帽子を被った少女。
その四人で交戦したのだが…
トドメは全て青年が刺しており、効果が高かったと思われるダメージはほとんど少女の攻撃であった

「ったく…あの猫だけだったら、おれぁさっさと何処か行くってのによぉ」
溜め息と共に青年は言った。
小さく呟く少年。
「しかし…本当にあんだろうな?この遺跡にいる門番とかと戦る機械があるってぇのはよぉ…」
それは、とても楽しそうに…笑いながら、戦闘狂は言った。
「…もし、そうだとするなら…オレは、コイツについて行く意味が出来る…義務じゃなくて、権利が、な」
「…もさ…?」
少年には理解出来ない内容に、青年をじっと見つめる。
「…ま。おめぇも足手まといになんなよ?同じ前に立ってるんだ。ちったぁ攻撃入れろい」
「…もさ」
…少年も気を抜いて戦う事が出来なくなったとか…

拍手

――別れは急に訪れる。

――すぐに会えないとなると、寂しくなるモノ…

――その穴は、とても大きい気がするのだ…

――そして、猫にも…別れが訪れる。




「ふにゃー…にゃー」
「ミル…いい加減、目を覚まして下さい」
溜め息と共に、紅い目を持つ少女は猫に言った。
先ほどから、練習試合での相手…に、居た…仮面を付けた少女にメロメロだったらしい。
「にゃーん、にゃーん、もふもふしたいぃぃ~」
ごろごろ。
猫は微かに地熱があるのか、温かい砂の上でゴロゴロと身体を擦り合わせていた。
「…はぁ…」
もう一度、少女は溜め息をついた。
「いつ…切り出せばいいか、分からないではないですか…」
「…もさ?」
小さく呟いた言葉に、近くにいた緑の髪を持つ少年は首を傾げる。
その様子を見れば、少女は苦笑しながら言った。
「実は…」



「にゃー…さらにゃー、大変だったニャー…」
やはり、嫌な予感は当たっていたらしく…少しボロボロになった兎さんは言いました。
「まぁ、持ってかれたのが新しく作った武器じゃなかったから、まだ良かったっすけど…」
溜め息を一つ。
何やら、今日は溜め息が多い日です。
「とにかく、パノはここら辺には居ないみたいっすし、早くここから…ん?」
隠し通路の方を見れば、大きなタラバガニが…
目を輝かせたのは猫でした。
「にゃーん…!!かに、かにぃ!!」
興奮しているのか、タラバガニを指さし、兎さんに何度も感嘆の声を上げています。
「見れば分かるっすよ。でも、ちゃんと勝てる相手に…ん?」
ふと、兎さんが見た先には…
うじゅるうじゅる。
うねうねと足を動かす、世にも珍しい砂の上に生息する蛸…
「…」
蛸と蟹を見比べる兎さん。
そして出した答えは…
「分かったっす。じゃ、さらがあの蟹さんを相手するっすから、ミルはあっち頼むっす」
そういうと、斧を構えてそのまま向かっていきました。
「にゃ?にゃーん、頑張ってニャー♪」
手をフリフリ、その様子を見ていました…が…
「…にゃにあれ?」
「…古代の魔導器…みたい、ですね…」
猫の問いに少女が答えると、猫はほぅ、と息を吐き、
「罠とはやるにゃ…この遺跡…!!」
勝手に一匹で良い解釈。兎さんを助けに行くという選択肢はないらしい。
「さーてと、飛燕とへたにも、行くって事伝えにゃーと…ん?」
背伸びをして振り返ってみれば…
うじゅるうじゅる。
世にも珍しい、砂の上で生息する蛸が居ました。
「…蛸にゃ…」
「蛸ですね」
「…もさ…」
…うじゅるうじゅる。
その目が敵意で光った瞬間、猫は目を見開き後ろに飛んだ。
足があった場所には吸盤の付いた触手が何本も砂を剔って…
「ふにゃー…殺る気満々、にゃー…?」
ざっ、と柔らかい砂の上に着地した為か、少しだけよろめいて、目を瞬かせる。
いつの間にかすぐ横にいる少女…そして、少し前には緑の髪の少年。
…完全に臨戦態勢は整っていた。
「にゃー、みんにゃを呼ぶ暇は無い、かにゃー…」
猫が小さくぼやいたその時、
「…ミル…話があります」
「にゃ?」
猫の隣にいた少女は蛸を見つめながら口を開いた。
「あたしは、帰らなければなりません…」
「にゃにゃ?」
急な話に目を丸くする猫。しかし、少女は続けます。
「この頃、遺跡内の動物や植物…鉱石も、行動が活性化しています…私も…巣に、戻らなければ…」
下唇を噛みしめる少女に、猫は頬を掻いて…
「…まぁ…お家の事情、にゃら…しょうがにゃい、よにゃ…」
言いにくそうに、視線を落として笑いました。
そんな猫の様子に、少女は「ごめんなさい…」と、小さく呟いて…
「…見れば、あの蛸…なかなか強いようです…」
手を振れば、いつの間にか拳の間には長い針が挟まっていた。
「私が…奴を引き込みます。私の代わりに…せめてもの、礼、です」
その赤い目は猫を映していて…猫はその金色の瞳で少女を捕らえていました。
「…分かったにゃ…絶対に…」
猫も拳を作り、指の間から針を出します。
「絶対に、勝つニャ」
「ぇぇ…ミル」
言うが早いか、猫は指を鳴らし…
指の間に挟まっていた針は蛸に向かって飛んでいた。



「…」
「…」
「…」
「…」
動きが遅くなった蛸に、猫は息をつきました。
「にゃー…にゃんでこんにゃに踏ん張れるのにゃ…?」
「…私達の攻撃が効いていなかったのかも知れません…あの身体のせいで」
少女は目を閉じ…目を開けば、猫に言います。
「…ミル…今まで、御世話に…」
「…」
その言葉を猫は指で止めました。
「…平原に行ってから…で、良いじゃにゃー…にゃ?」
…猫の笑みは、少しいびつだったかも知れません。
悲しいにもかかわらず、何故か笑みを浮かべた猫に、誰も論を言うことは出来ませんでした。


…無言で隠し通路から出て。
魔法陣の上を行き…
平原にたどり着けば、水場の近くで座りこみました。
「…」
猫の隣に少女が座ると、猫が見ているその先…壁しか見えないその先を見つめます。
…緑の髪の少年は蛸の触手に絡まれながらもがいていました。
「…ミル…もうそろそろ、私は…」
「…にゃあ」
小さな声で猫は鳴きました。
「ご飯、食べてからじゃ…ダメ、かにゃ?」
「…」
「…びぃ、と…ご飯、食べるの…かにゃーり先ににゃりそうだしにゃ」
その猫の瞳は何を映している?
猫の先にある壁を見ているのだろうか…
「分かりました…あの蛸をちゃんと使役するまでは、一緒に居ましょう」
「にゃーん、ありがとにゃー…」
「…別に、一緒にいたからじゃ、ありませんから」
つい、と猫に表情を見せない様にそっぽを向くと、猫が小さく笑いました。
「にゃー、素直じゃにゃいにゃー…」
「…ぇぇ、素直じゃありません」
小さく息をついて、少女は視線を戻します。
「私も、出来れば…ミルと、もっと居たかった…」
目元を緩め、猫の姿を映せば、ぽつりぽつりと喋りだしました。
「初めて出会ったとき、まさか、負けるとは思っていませんでした。ましてや、兎と、猫に」
「そりゃあにゃー、ニャーも生きた心地はしにゃかったしにゃ」
苦笑しながら、猫は相づちを打ちます。
「ぇぇ、だから…着いていこう、って思った時…仲間には、内緒だったんです」
「…怒ってるかにゃ?」
「分かりません…女王の子供達が泣き喚いて、それどころじゃないかも知れません」
くすくすと笑うと、天井を見上げます。
…遺跡の中なのに、明るく…自然が蔓延る…
そんな天井を見つめ、少女は言いました。
「ミルと居る間、仲間のことも思い出しては居ました。でも…それ以上に、私は楽しかった」
「…」
「働き蜂でしかなかった私が…冒険、出来たのですから…」
その表情は、とても嬉しそうに…何かを、噛みしめるように。
「あの、遺跡の門番を…ミルと、一緒に倒したとき…本当に嬉しかったから…」
目を閉じ、息をつくと、また視線を猫に戻しました。
「…ミル。また…会えますか?」
その言葉に、猫は小さく頷きました。
「…にゃ…きっと。また、会えるにゃ」
…二人はどちらともなく、微笑みを携え…手を差し出します。
その、小指を絡め…
「約束です」
「約束にゃ」
小指同士がほぐれると、猫は少女を抱きしめました。
「ミル…?」
「にゃ、モフモフするの忘れてたにゃ…可愛い女の子にゃのににゃ」
「…」
少女は目を丸くしていましたが…くすり、と笑いました。
「…もう一つ、感謝しています…」
「にゃににゃ?」
「人と触れるとき…固くて、冷たい身体じゃなくて…柔らかくて、温かい身体で…触れれることを…」
少女が猫の背中に腕を回し、
「この身体に、変えて下さったことを」
猫の肩に顎を置き…
しばらく、二人はそうしているのでした。




「…もさ…」
三人は食事を取りながら、話していました。
「まだ、あの蛸には…メイクアップ、出来ないのですか?」
「にゃ、にゃんとゆーか、体力が高いからニャー…モー少し、弱ってくれにゃーと、ニャーの魔力じゃ…にゃー」
猫が頬を掻きながら蛸の方を見ます。
蛸は蛸で、暇なのか…草むらの草をぶちぶちと毟っていました。
「…もさ…」
…同族が毟られていると思うのか、少年は眉をひそめ、そっぽを向いて食事を続けます。
少女が蛸から視線を外すと、ふむ、と小さく呟いて…
「…もう一日、一緒に行動することになりそうですね」
「…お願い出来るかニャ?」
「ふふ」
猫の問いに、少女は小さく笑って…
「ミルの頼みならば…しょうがないですね」
最後の一口を口に放り込みました。



「にゃー…んで、今度は茄子が居なくにゃった、と…」
溜め息を一つ。
「そうみたいですね…ごめんなさい…」
一緒にいた三角帽子を被った少女が小さく呟くと、猫は慌てて言いました。
「にゃにゃ、パノのせいじゃにゃいにゃ」
「…もさ…」
「まぁ、そんなわけっすから…」
「少し、時間を潰しましょう」
「…にゃ?」
兎さんと黒髪の青年の方を猫が見ると、三角帽の少女は言います。
「練習試合、です…」
「…」
猫が目を瞬かせますが、小さく頷いて、
「にゃーん、それじゃー、やるにゃー?」
「ん?今日はやけにやる気っすねぇ」
「じゃ、オレは休んでるわ」
やる気を見せる猫に、上半身が鳥の男は水場の方に向かい…
猫は紅い目を持つ少女の方を見て…小さく笑いました。
「…」
「…」
紅い目を持つ少女もつられて笑い…
猫は言いました。
「と、ゆーわけで、もさっ!女の子三人をちゃんと守るのにゃー!」
「もさっ!?」






…今日も、猫は元気である。

拍手

「ふ…ふ…」
石像を従えた漆黒の髪。
”ソレ”は元々、この場に居なかったのではないか?
そう思わせるように…崩れるように消えていった。
ただ…
ソコに、紅十字を遺して。

「…勝った…にゃ?」
針を構えていた猫が臨戦態勢を解きながら、前で戦っていた兎に問いかける。
「…その様っすね…」
斧を担ぎながらその十字架を拾うと、兎は猫に振り返った。
「…ちょっと…消耗しすぎたっす。外に戻るっすよ?」



「ぁー」
猫は空を見上げながら、声を漏らした。
その声は何と形容すればいいのやら。
絶望しているのか疲労しているのか…
そんな濁った声を空に向かって出していた。

…ソレは、猫がこんな事をしている数時間前に遡る。
遺跡の不思議な力の一つ、疲労している者を外へと追いやる機能。
猫と兎はまだ微かに冷たさが残る風にさらされていた。
「…じゃ、みんにゃを探さにゃーと…」
そう、猫が兎に言った瞬間、遺跡はまた疲れ果てた者を吐き出した。
「…パノ…と、飛燕…!」
見覚えのある少女と青年の姿。
兎と猫は駆け出していた。


「…って事は…あの、トリスって言うのは…門番、かも知れないっすねぇ…」
食料を買い込んだ後、焚き火の周りで話し合っていた。
少女と青年…それと茄子はあの女と接触し、負けていたらしい。
しかし、猫と兎よりも後に出てきたことを考えると…
どうしても、時間軸がおかしい。
猫と兎の前で砂のように崩れ去った女…
それは、兎の手の中にある紅十字が示している。
そして、猫達が接触する前に引き返した…砂地の向こうに居たらしい二匹の獣と少年。
噂によれば、その女を倒した者が向かえば姿を現さなかったという。
「…宝玉を守る、ってゆー…アレ、にゃ?」
この島へ呼ばれた理由。
それは七つの宝玉を集めし者は願いを叶えられるというモノ…
招待状を受けとった者ならば。
この島に関して知っている者ならば…
少なくとも知っている知識。
「…つまり…その奥に…」
少女の声に猫は小さく頷いた。
「恐らくは…でも…」
猫は言葉を止める。
その言葉の続きを兎が繋げた。
「門番だとして…二人居たわけっすね。片方を倒して消えた事を考えると、アッチと繋がっていて…」
焚き火に渇いた枝を放り込みながら青年は言う。
「…まだ、先がある…?」
炎は皆の身体を映し、そして影を作る。
その闇は不安で濃く見えた。
「…門番に守られてるのはニャー達かも知れにゃー、って事かニャー…」


檻の中に百獣の王は居る。
しかし。
その檻がなければ、王は爪を振るうであろう…
力無き民はその爪の前に、赤を散らすことになる。
さて…
檻の中に王を入れたという人間。
檻の中に鎮座する王。
その檻は何の為にあるのだろうか…


「…はぁ」
もう一度、猫は深い溜め息を空に吐いた。
そして、一人…鳥男が遺跡の中に残っている。
猫達の中で、一番体力があった男で、まだ遺跡は戦えると判断しているのかも知れない…
しかし、姿が見えぬ者に対して、不安は広がっていく。
「…こうしててもしょうがにゃー…かにゃ」
拾った緑色の液体。
そして、石像から出てきた鉄の固まり。
それらで針を作っていく。
猫がこの島で手にした知識…
物と物とを組み合わせる技術。
そして、その先にあるのは…生き物すらも組み合わせることが出来る技術…
が、あるらしい。
猫は思う。
もし、ソレで”自分”が残るので有れば…
この島で、自分を越える自分を作れるのではないか、と。
そうすれば、下に行ける力が…
「…」
猫は頭を振った。
…何を考えているのだろうか。
元々、猫はこの島にはバカンスしにやってきたのだ。
ダメだったとしても、何も気にすることはない。
この遺跡の外は安全なのだ…
「…っ、にゃーにするにゃ、コイツー」
いきなりはたかれ、そっちの方向を向けば緑の髪を持つ少年が居た。
…猫の魔力によって使役している雑草…なのだが、その姿をまた使役の術の一種で変えさせていた。
この力も、この島で培った物なのだが。
「…もさ」
ぼそりと呟く少年に、眉間に皺を寄せつつ猫は言う。
「にゃーににゃー、にゃんも用事がにゃーのにはたいたのにゃー?」
キーッ。
歯をむくと、少年は口を開いた。
「…この島…生きて、いくには…力、必要…」
その小さく開かれた唇で。
「だから…もっと、強く…なりたい…」
その小さな声で。
「どんどん…強いの、寄ってくる…」
願望を唱えた。
「それ以上に、強くなりたい…」
「…」
猫は視線を落とし、溜め息をついた。
元々、猫は…
「ミルッ」
また、気分を変える前に声をかけられると、複雑な表情で顔を上げる。
猫が向いた方向には、金髪の少女が居た。
黒いリボンで髪を結い、緑のパーカーとジーンズという軽い格好。
…普通の人間と違うことは目が赤で染まっていたことか。
元々、この少女も猫の魔力によって使役している蜂だった。
雑草の少年よりも使役している日数は少ないモノの、純粋な針の使い方や針の毒は猫に勝るとも劣っては居なかった。
「練習試合をしたいという一行が居るようですが…どうするのです?」
猫は視線を落としたまま黙していたが…
蜂の少女はその様子に首を傾げながら言った。
「…どうしたのです?ミルらしくもない」
猫に背を向けると、その一行の方を向いた。
「何を考えてるのか知りませんけど…私達はトリスを倒したのですよ?壁に当たったワケでもないのに、不安になることはありますか?」
「…」
その言葉に猫は顔を上げ…小さく頷いた。
「そーだよにゃ…うん、そーだよにゃ」
「もさ…」
むすー、とする雑草の少年を尻目に、猫は蜂の少女に言った。
「じゃ、練習試合をしようかにゃ…さらは?」
兎の姿を探す猫に、少女は、
「は?」
首を傾げる。
「…いや、だから、さらは…」
猫が問いかけるも、その言葉は少女が指差した先を見た途端、閉口せざるを得なかった。
…すでに、兎は相手がいる用で…
「ぇ、にゃに?ニャー一匹?」
ぅぇー、と嫌そうな顔をする猫に、蜂の少女は小さく笑いながら言った。
「…私達もいるから三人です」



「…やれば出来るじゃないですか、ミル」
肩で息をする猫に、少女は微笑んだ。
…どうやら、島に来てからまだそんなに過ごしていないのか…
猫の方が場数慣れをしていた。
「にゃーん…ちょっち…」
しかし、猫一匹で大半を削っていた事に、じと目で少女と少年を見るが…
溜め息を一つ付くだけで終わった。
自分の力を越えたら使役などさせてはもらえないだろう…
つまり、自分がそれ以上に強くならなければならないのだ…
少女は苦笑しながら猫の肩を叩く。
「お疲れですか?…ホワイトデーで頂いたキャンディでも舐めたらどうでしょう?」
…時期はホワイトデー。
なのに。
「…」
彼氏と言える存在が居ない猫。
その味は少ししょっぱかった…と言うことはなかったらしい。
…辛うじて。




猫達は魔法陣に踏み込んだ。
あの女を倒せるほどの力があった方が良い…
もう一度、力試ししに行くらしい。
しかし…その前に、猫達は東へと向かっていた。
「噂っすが…さら達が居る魔法陣の近くで、隠し通路があったらしいっす」
兎の言葉に、皆目を瞬かせます。
話に寄れば、その奥には強い魔力のこもったローブがあったらしく…
その通路が見つけられたのはほんの一日前。
「まだ、何かあるかも知れないっすし…」


その壁に触れると、ぶおん、と音と共に腕がすり抜けた。
「…にゃ、この壁みたいだにゃ…」
…暗い廊下を抜けると、砂地が広がっており…猫達は辺りを見回す。
「…にゃー…流石に、人が多いニャ」
噂を聞きつけたのか、他にも人が十数人おり…
「…あれ?」
ふと、猫が声を上げると、
「パノは…?」
…少女の姿が見当たらず、きょろきょろと辺りを見回した。
しかし、その姿を確認することは出来ず…小さく唸ると兎は言った。
「まだ何かあるかも知れないっすし…手分けしてパノも探した方が良いっすかね」



「にゃー…にゃー、パノー、ぱーのー?」
砂を蹴りながら、辺りを見回す猫。
しかし、見つかったのは市販のポーションで…
ソレをバッグに入れると溜め息をついた。
「にゃー…此処に居にゃいんじゃにゃいのにゃ…?」
「そうですね…」
蜂の少女が額の汗を拭うと、ふと、とある方向を見つめていた。
「…何?今度は何にゃ?」
「練習試合、の様ですけど…」
「また、にゃー…?」
がっくし、と肩を落とす猫に蜂の少女は言う。
「…まぁ…何事も経験です」
溜め息と共に、猫が針を構え…


…ゾクッ…


「にゃっ…!?」
不意に感じた寒気に似た何かに辺りを見回す。
「どうしました?」
「にゃ…」
歯を噛みしめ、猫は眉間に皺を寄せていた。
「…嫌にゃ予感がする…」
「…?」
雑草の少年が首を傾げたが、練習試合はもうすでに始まっており…
「…無事だと良いのですが」
こんな時に全員で別れて行動したことに、後悔の念を抱きながら針を構えた。

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最新TB
プロフィール
HN:
ENo920PL
性別:
非公開
自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

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