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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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――知らない島に来て。

――今まで触れなかった知識を知り。

――色々なところから集まった人と出会いました。

――そして、初めて努力という物をしようと考えたのでした。


「…ふにゃ」
小さく息を吐き…転がっている固かった蚯蚓を見下ろします。
「…ちょっと、遊びすぎたニャ?」
後ろにいた猫には攻撃は一度しか飛んでこなくて…しかも、皆に攻撃しようとしていたため、攻撃が来る方向がほとんど分かっていたのでした。
一度も攻撃を受けることなく終えた猫は皆に言いました。
「…にゃ、大丈夫ニャ?」
「…ん」
「大丈夫っすよ?」
「…もさ…」
…皆も、大してダメージというダメージは受けては居ない様子で…
休みながら行こうと話していた約七名にとっては、問題はさほど無かったようです。
「…にゃ、じゃ、移動しちゃうかニャ?」
皆が頷くと、もう一方で戦っていた三人を待つことにしたのでした。


…猫は目を丸くしました。
「にゃにゃ?」
「だから、おいが倒れかけたですたい」
茄子が猫や兎さんに話しかけています。
「…にゃんで?」
…猫は首を傾げます。
猫達のグループでは、その茄子達と対峙した相手とは、特に苦戦せずに勝っていたのでした。
そんな中、兎さんは唸って言いました。
「んー、バランス考えるべきっすかねぇ」
ソレを聞いた猫は頬を掻きながら、
「んにゃー…バランスってゆってもにゃー…」
むーん、と唸っています。
…というのも、元々、猫が仲間を求めた時にバランスなど考えていなかったのです。
ただ、楽しく探索できれば良いや、と思っていただけでした。
「…」
「…」
悩む二匹。そして、出た結論は…
「…遺跡の外に出てから考えにゃー?」
「…そうっすね…山では二人で一人と戦った方が確実になるし、その後考えれば良いっすよね」
そう、兎さんは砂地の先に見える山を見たのでした。
あの山で一度腕試しをして遺跡の外に戻る。そう、考えていたのでした。


「ふにゃ」
山岳により近づいた砂地で休む事になりました。
此処で、もう一度バトルに慣れておくのだとか…
「…そういえば、今日は練習試合しにゃいのにゃ?」
猫がダラケながら皆に聞きます。
しかし、皆の答えは…
「…しなくても良いんじゃないっすか?」
「めんどい」
「今のパーティでやっても、そんなに…」
等々、返答は様々です。
猫は一つ、目を瞬かせると丸くなって、
「…にゃ、にゃら良いけどニャ」
痛くにゃいし、と欠伸をしました。
…一番だらけたいのは猫なのでした。

…実際、バトルの後で何かしら個々人で特訓していたようで…
それで編み出した技を使ってみたり、腕試しをしてみたりしていたのです。
しかし、そんな短期間で大きく変化はないだろう、と…そう言う結果になった。のかも知れません。
それとも、山岳では色々といやーな話を聞くので、ソレに気負いせぬように鋭気を養っているのでしょうか…
「…ふにゃん…」
…少なくとも、此処で寝息を立てている猫にはそのどちらでも無いのでしょう。
楽しければいい。
元々の思考はこんな猫なのです…


…目を覚ますと、猫は魔王様から送られてきた時計で時間を確認しました。
大きく欠伸をすると、帽子を被り…茄子に作ってもらった紫色のパンを囓ります。
「…んにゃ…」
寝ぼけ眼で近くで寝転がっていた少年のお腹にダブルチョップ。
いきなりの暴力に息が詰まる少年に、猫は欠伸をしながらパンを囓ります。
「…もさ…」
少年の抗議の視線。しかし、猫はその視線に怯むことなくパンを食べ終えました。
「んにゃ、もうそろそろ言ってた時間にゃ。」
時計をポケットに入れ、立ち上がって砂を払うと、ようやく少年の方を向きます。
「…」
…やはり、抗議の目を猫に向けています。
しかし、さっさと皆を探しに行ってしまった猫に、後をついて行かざるを得ないのでした。

「…にゃ?」
「…もさ…」
二人の道には、先客が居ました。
大きな蟻さんが行列を作り、何かを運んでいるのです。
「…にゃー、別に、此処通らにゃくても、さらと飛燕を見つけれれば良いしにゃ…」
平和思考の猫は言いました。
しかし、その考えも打ち砕かれることとなるのです。
「ぁ、ミル、見つけたっす」
手を振る兎さん。
その前には大きな蟻さんの行列…
「…にゃ。とりあえず無事で良かったニャ」
考えたくないことには目を瞑り…耳をビコビコと動かしました。
しかし、兎さんと一緒にいた青年は困ったようにその行列を見ます。
そして、こう呟くのでした。
「…邪魔だし…ちょうど良いから、コイツらとバトルすれば…」
「Σ !」
考えたくなかったことを青年に言われ、毛を逆立てる猫。
そして、その声に気付いた大きな蟻さんは辺りを見回し…
「…噛ムヨ?」
首を傾げながら四人に言います。
そして、行列は穴の中に入っていき…砂の上には三匹の大きな蟻さん。
「噛ムヨ?噛ムヨ?」
しゃきんしゃきん。
顎を動かしながら、首を傾げます。
「んー、じゃ、始めるっす」
「…」
やる気満々なのか、ソレゾレの武器を構える兎さんと青年。
その様子に少し嫌そうな表情を浮かべる猫と少年。
「…にゃ」
「…もさ?」
猫の呟きに、少年はそちらの方を見ました。
「…最初っから、通らせて、って…頼めば良かったんじゃにゃー…?」
少年は少し考え…
「…うん」
小さく頷いたのでした。
猫はうんざりと言った表情で…溜め息をつきました。
兎さんが猫を呼ぶ声が聞こえると、もう一度溜め息をつき…
シャキン。
手袋を嵌めた手を握り、もう一度開きます。
すると、五本の指の間には針が飛び出していました。
「しょうがにゃいにゃあ…もう…色々試させて貰うニャ…避けにゃきゃイタイタニャー?」
そう言うと、その針を蟻たちの頭上に落ちるように放物線を描かせました。
「…ネイチャーズリボルト!」
蟻さんに降り注ぐ毒針。
かくして、その針が戦いの幕を開けたのでした。

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猫は語っていました。
兎さんが知らない、という、お正月のことを…
兎さんに、そして、少年に…

 

――大きな時計が見えるレンガ街。


猫達はドタバタと騒いでいたり、何かを用意していたり…
師走と言うだけあって、猫の手も忙しいようです。
「にゃーん、年明けまで後15分にゃー!」
そう、一匹の猫が泣き出しそうな声で鳴きました。


その下々の様子を見下ろす黒猫が二匹…
一匹は皮のマントに革のブーツ。短いズボンに、帽子を被っていました。
もう一匹はその肩の上に、ちょこん、と乗っています。
「…にゃー、頑張ってるニャ」
「ニィ」
二匹は時計台の上で見下ろしていました。
その距離は、とても広いのに…二匹は全て見えていました。
「…後、10分にゃ…」
「ニィ…」
「後、10分で…」
黒猫はマントを翻し、時計台の中に入っていきます。
「新年あおおめ★どっきんばぐばぐ何でもアリの新巻鮭争奪戦★ポロリもあるよ。が始まるn」

 


「嘘っすね」
「にゃ?」
兎さんが猫が語っていた話をストップさせます。
「にゃー…」
頬を掻く猫。
「にゃんで分かったニャ?」
「誰でも分かると思うっす」
溜め息をつく兎さん。
「にゃにゃにゃ、でも、新巻鮭争奪戦は本当にあるニャ」
「…本当っすか?」
「ホントにゃ」
目を線にして、猫は言います。
…ふと、時計を見ると、その針は12で同着ゴールをしていました。
「にゃ。あけまして…」
「おめでとう…」
「っす」「にゃ」「もさ」
三人一斉に頭を下げました。


「…それにしても、鐘がにゃいと、新年って感じがしにゃー」
目を線にしながら、猫は言います。
「そう言うモンなんっすか?」
「もさ…」
兎さんと少年は、イマイチ分からないのか、一人と一匹は首を傾げます。
「にゃ、ソレはそうにゃ。にゃら、太郎達にも聞いてみるニャ」
おーい、太郎達ー、と手を振り…
「鐘がにゃーと、新年、って感じはしにゃーよにゃー?」
猫は皆に尋ねます。
「ん。別に」
そう言うのは鳥男。むむぅ、と猫は唸ります。
「それはそうじゃのぉ」
こう言うのは茄子。猫は喜びます。
「じゃ、パノは…」
「えっと…」
少女の言葉を待つ…その時。
ビュン。トッ。
…見れば、足下に矢が刺さっています。

「…」

「…えっと…」
「飛燕…?」
皆の視線が弓矢の飛んできた方向に向かいます。
「…」
無言で黒いオーラを出す青年は、もう一本矢をつがえ…
「…何を、楽しそうに…」
思いっきり、怒っているようです。
「にゃ、飛燕、落ち着くニャ」
「…」
「そ、そうっすよ、とりあえず、食事でもして…」
「要らない…さっき食べた…」
あわあわと、なだめようとする猫と兎さん…しかし、あっさり却下されて、
「…が…」
「…にゃ?」
「血が、見たい…」
「Σ !!」
青年の裏モードが炸裂します。
こうなったら、手のつけようがありません…
「こうなったら、止めるしか…」
慌てて詠唱を始める少女に青年の目が光ります。
「…遅い…小手調べ…」
何本もの弓矢を少女に放ちます。
「ぁ、危にゃー!」
慌てて少女を抱き寄せる猫。
「…」
じーっと見ている青年。黒いオーラ三割り増し。
「にゃ、にゃににゃ…?」
「何故…逃がす…?」
「にゃ、にゃんでって…?」
矢をつがえ、キリキリ、と弓を引き絞る。
「にゃー!?」
「血を…見せろ!」
慌ててその矢を避ける猫。
「にゃ、にゃにゃ、どうするにゃ!?」
兎さんに向けて、猫が叫びます。
このままでは危ないです。ヒジョーに、危ない。
「…!」
ぴこーん。という効果音と共に、電球が光りそうな表情をしました兎さん。
こんな事を言いました。
「れ、練習試合を始めるっすよ!」
「ぇぇぇ!?」
このヤバイ状況で相手するの!?と言わんばかりの鳥と茄子、そして少女。
「構わない…血が…」
恐い青年も、血が見れるチャンスに口元をつり上げます。
「バーローwww」
「むぅ、本気で飛燕を抑えるたい」
「…うん」
二人と一個の結束も高まります。
「…にゃ…これで…」
「さら達は、手を抜けば…」
「…」
小さく息を吐いた二匹に、青年は鋭い視線を投げます。
「…練習試合、だよね…?」
「!」
「本気で、やらないと…」
「にゃ、練習は本気でやるものじゃ…」
猫が反論しようとしますが…
ギロリ。
鋭い視線に何も言えなくなり…
「…本気でやらないと、やばそうっす」
「にゃ…」
小さく頷く猫なのでした。


「…にゃー…助かったニャ…」
色んな意味で…小さく、猫が息をつきます。
最後に立っていたのは、猫と兎さん…かなり、満身創痍です。
「…これなら、飛燕にも、怒られないで…すむっすね…」
…最初の方に集中して攻撃を受けた青年の方を見て…
二匹は深く溜め息をついたのでした。


…しばらくして。
青年が目を覚ますと、黒いオーラはなく…皆、安堵の息をつきました。
その後、青年から何か自分がやっていたか、と聞かれましたが、皆は言葉を濁すばかり…
そんなこんなで、砂地を歩いていました。
「…にゃ?」
ぴこり。
「…ん?」
ぴこり。
猫と兎さんの耳が動きます。
「…聞いたニャ?」
「…聞いたっす」
皆は軽く首を傾げます。
二匹は顔を見合わせ…
「あっち、行かにゃー方が良いかもニャー…」
「なんでですたい?」
「んー…爆発音…それも、結構大きかったっす。もの凄い強い敵がいても、おかしくないっす」
皆は考えます。
向かおうと思っていた先がそんなのでは…?
「…にゃ。食料が許す限り、頑張って強くにゃる、ってゆーのは?」
猫が提案します。
「…そうっすね。さらは、遺跡の奥まで行きたいっす」
「こんな所で、立ち止まっては居られない」
「バーローwww」
「…頑張るたい」
「うん…頑張る」
皆、満面一致で、休みながら、戦う相手を捜すのでした…


「…もさ…」
此処にやる気のないのが一人。
雑草の少年は猫に聞きます。
「…あんたは…がんばるき、あるの…?」
そして、猫は目を線にするのでした。

拍手

――鐘が鳴る。

――ソレは、子供達に夢を運ぶ鐘の音。

――鐘が鳴る。

――ソレは、新しい節目の時間に挨拶を告げる鐘の音。

 

「ふぅにゃにゃーん♪」
すた、と一回転。
すると、猫の姿は…
「…もさ…」
「…ミル、いつの間にそんな服手に入れたっすか?」
いつの間にか、ショートシャツにハーフパンツ、テンガロンハットという姿だった猫が、サンタ帽にファー付きの赤いタイトスカートに、赤いチューブドレス…ファー付き。つまり、サンタガールルックになっていた。
「にゃ?ニャーの住む町から送られてきたニャ♪」
白い袋を取りだし、もさに赤い服を手渡しながら猫は言いました。
「へぇ…じゃ、食べ物とか、武器とか…」
送ってもらってはどうか、と言おうとした兎さんに首を振る猫。
「にゃ、ニャニか、別に探索とかに関係のにゃーモノしか外部から持ち込めにゃーみたいにゃ。
つまり、防具として扱うよーにゃのとか、武器として使うよーにゃのはダメみたいニャー…お魚もダメだったニャ」
少し、しょんぼりとして言う猫に、兎さんが首を傾げます。
「…あれ、じゃ、ミルは…住んでいた所と連絡が取れるっすか?」
「にゃ」
…しばしの沈黙。
「どーしたにゃ?あっちのサンタさんを待たせちゃいけニャー」
「…そ、それもそうっすね」
赤い服に着替えたもさを引き連れ、サンタさんとトナカイに勝負を挑みました。


「…にゃー、勝って良かったにゃー」
「…そうっすねぇ…」
袋の中をゴソゴソとしながら、猫と兎さんは言います。
「…」
少年は見ているだけです。
「…ところでさらにゃー」
「何っすか?」
「その赤いの、いつまでつけとく気にゃ?」
見れば、兎さんのほっぺには赤い丸い物がくっついています。
「…少なくとも、プレゼント選び終わるまではダメのような気がするっす」
少し、耳を垂らして呟きます。
「もさ…」
少年は疲れてるからか、猫達の様子を見ています…
「にゃ。制限時間有るみたいだし…」
「あるっすか?」
「にゃー、じゃ、コレ」
手に取ってみたモノは…アロマキャンドル。
「ぉー。なかなか良かったんじゃないっすか?」
「にゃ、さらはにゃにににゃったにゃ?」
「これっす」
そう言って持ち上げたのは、雪の結晶みたいな装飾が着いたイヤリングでした。
「…にゃ。耳が大きい分映えそうにゃ」
「…言わないで欲しいっす」
「因みに」
そう言って持ち上げたのは黒猫のマスコットの付いたキーホルダー。
「飛燕の分にゃ」
目を線にしながら猫は言いました。
「…まぁ、良いんじゃないっすか?」
「プレゼント交換らしいしにゃ」
…確かに、サンタさんだけに負担があるなんて、世の中そんなに甘くはないわけですが。
「にゃ、ニャーは木天蓼袋入れたニャ…さらはにゃに入れたニャ?」
「さらが作ったミトンっす」
「…器用だニャー」
耳をビコビコと動かして、猫は小さく鳴きました。


「…それにしてもにゃー」
「何っすか」
「大きい蟻と、大きい蚯蚓を見ると、泣きたくにゃるにゃ」
…見れば、顎が立派な蟻と、グラサンをかけて、甲殻が付いている蚯蚓…
が、横たわっていました。
「…まぁ、分からないでもないっすけど」
「しかもニャ」
何かを持ち上げる猫。
「…お肉…蚯蚓の…」
「…食用なんじゃないっすか?」
「さらにあg」
「さらは草食っす」
目が線になった猫。少し項垂れていたとか、居ないとか…
ふと、気がつけば…
「…そう言えば、新年にゃ」
猫が顔を上げると、遺跡の空を見上げ…
「そうっすねぇ。さらは良く知らないっすけど」
「にゃあ…」
猫は小さく鳴くと、ぽつりぽつりとしゃべり出しました。

拍手

――初めて島で手に入れたタンパク質…

――それはこの島の理を表していると言っても良い…

――弱肉強食…

――欲さずとも、彼女たちには自分の身が守れるくらいの力は必要だった。

 

「にゃにゃん、ありがとにゃー♪」
お相手をしてくれた二人組に軽く手を振ります。
「にゃ、勝って良かったニャ♪」
「…うん…」
少年も小さく頷きます。何故なら…
「今回も、全員立ってられたのぉ」
茄子がしみじみと言います。
因みに、前回というのは黒豚をボコった時のことなのです。
猫達よりも少しか弱い少年は、前に立たされていて…
よく、攻撃を受けては倒れていたのでした。
「にゃ、毎日トレーニングしてるモンにゃ。それが実ったんじゃニャー?」
「…」
じーっと、何かを抗議するような目で見つめる少年。
確かに、トレーニングはしていたのです。
ただ、そのトレーニングは筋トレばっかりで…戦闘が終わってからさらにやるため、かなり辛かった模様。
しかし、猫はその視線をモノともせずに太陽の方を見ます。
見れば、傾きかけた太陽は先ほどとは違う色合いを見せていました。
「にゃー、結構時間も潰せたし、もーそろそろじゃにゃーのかにゃ?」
軽く首を傾げて猫は辺りを見回します…
それを、少年がじーっと見つめているのでした。


「じゃー、行くにゃー?」
鳥男も少女も揃ったことを確認すると、魔法陣へと踏み出した。
その行く先は最後に立ち寄った魔法陣…『枯れた麓』。
なぜそんな名前が付いているのか。
ソレは定かではないが、魔法陣に付いていた名前。
ソレをそのまま使っているに過ぎない…
しかし、名前があるというのは、うろ覚えで動くよりもとても効率は良かった。

 

ぱしゅっ。
魔法陣に足を踏み出せば、辺りの景色は変わり…
周りには平野と山岳が広がっています。
「にゃー…やっぱり、遺跡って感じがしにゃー」
コレが遺跡というのだから、世の中分からないものです。
「ぁ」
少女が指差した先には、動く壁を相手に斧を振り回している兎の姿。
「…さらだな」
「さらじゃ」
「さらにゃー」
「さらだね…」
「もさ…」
分かりやすい特徴があると良いね、っていうお話でした。
…しばらくして、兎は寄ってきた壁を斧で吹き飛ばしました。
「…お疲れ様にゃー」
「ぁ、ミル…早いっすね」
斧を担いでこっちにやってくる兎さん。
軽く手を振って、えーっと、と辺りを見回します。
「にゃ、んで、どっちに進むんだっけにゃ?」
「ぁぁ、あっちっすよ。ミル達はきたばっかりだから、方向とか良く分からないかも知れないっすけど」
兎さんが指し示す方向には山岳が広がっていて…
「…にゃー、早めにいかにゃーと、またあの豚に会っちゃうかにゃー…」
「それはきついな」
なんとか引き分けに持っていった鳥男も、連続は嫌な様子。
「じゃ、早めに行くかのぉ」
茄子が先を促すと、皆が頷きました。

 

山道を歩きながら、皆は話し合っていました。
「にゃー、たまには一緒に戦うメンバー、変えてみにゃー?」
この猫の一言が皮切りでした。
まぁ、折角の大人数なんだし、と皆は頷きます。
少年も頷いたようですが、猫にぺち、と額を叩かれていた様子…


「…にゃー。じゃ、ニャーともさがパノと入れ替わる、って事で良いニャ?」
山岳を越え、砂地に着いた時、猫は言いました。
やはり、スリーマンセルにすると、見た目はあまり代わり映えはしない様子。
「まぁ、良いんじゃないっすかねぇ?」
「一度、練習試合してみて考えれば…」
…少女の言葉に皆が目を向け…一度、チーム事に分かれます。
「にゃあ」
「なんだ、猫」
「…確かに3:3だけど…おかしくにゃー?」
…見てみれば、6人…
「…バーローwww」
皆気付いたのか、思い思いの行動をしています。
…何故忘れていたのだろう。彼…飛燕を忘れていたのです…
「…どうするっすか?」
「ニャー…にゃにか、メッセージ送れば…」
特に焦っているのは彼と組むことになっていた猫と兎さん。
「…もさ…」
少年が首を傾げながら何処かを見ています。
「にゃー、寧ろ、迎えに行くニャ?」
「まぁ、それでも…」
うーん、と悩んだ結果。
猫達はメッセージを送りました。
今居る場所の行き方を添えて…
「にゃ…これで、良いはず…」
「っすね…」
そして、視線を落とし…
「…」
少年が向いていた方向に猫が視線を向けます。
「…」
「…」
「…どうしたっすか?」
兎さんもそっちの方を向いてみると…
「…」
「…」
「…」
「サンタさんにゃ」
「トナカイも居るっすね」
「…もさ…」
じーっと、そっちの方を見てしまう猫達…
そのトナカイには、小さな仮面が眼鏡のようにかかっていて、下の喉の部分から白い息が…
「…着ぐるみにゃ?」
「…じゃなかったら、なんすか、あれ…」
「…そういえば、練習試合どうするにゃ?」
「…流石に、パノ達とやるには…って、まさかっ」

「にゃー、サンタさーん!!」

手を振りながら突撃する猫。
ぁーぁー、と兎さんと少年は思ったとか思わなかったとか…

拍手

――面妖な遺跡…

――異質な動物…

――固定概念は覆される…

――しかし、それは我が身も同じなのだ。


「ちぇーすとぅ!」
「ふむ…」
針を飛ばし、黒豚に刺さらせ…黒豚は後ろに跳躍した。
「此処は退こうではないか…なかなかに楽しかった…では」
そして、そのまま…姿を消した。
「はにゃ?ニャーが倒した…のかにゃ?」
「…そう…みたい…」
…飛んでこなくなった魔術に、小さく息を吐き…
「ひゅう…危にゃかったのにゃ」
…なんとか黒豚を退けた。この事に、小さく安堵する。
黒豚は魔力を使いこなし…その上、自負していただけあって、体力が高かった。
「にゃ、誰も倒れにゃかっただけ、マシかにゃ?」
「もさ…」
「ですたい。それ以上を望むのは贅沢t…じゃ」
小さく頷き…ふと、戦う前にはなかった…
恐らく、黒豚の私物、かと思われるモノが落ちていた。
「…にゃ、お肉…?」
「しかも、普通よりも高価なお肉たい」
パックにそう書いてあります。
その文字を見て、目を瞬かせ…
「…貰って良いかニャ?」
「…良い、んじゃ…?」
「良いんじゃなか?」
顔を見合わせ…そのお肉を点に掲げる。
「いーいおにくー!」
その声は歓びに満ちていた。
「久しぶりのタンパク質ニャーッ!!」
…少年は植物。
茄子も植物。
この中で好んで雑食なのは、猫しか居なかった。


「…にゃ、お疲れ様ニャ」
鳥男と、かなり疲れている様子の少女を迎える。
「いたい」
「つかれました…」
「にゃー、やっぱり、かなり疲れてたしにゃー…でも、引き分けに出来たのは凄いと思うけどニャ」
耳をビコビコと動かしながら、二人に首を傾げ…
「…もさ…もどろ…」
少年の呟きに、皆、一つ頷くと…帰りたい。と強く念じた。

 

 

ぱしゅっ。
軽い音共に、見れば太陽の下…近くには魔法陣…
久しぶりの外の空気に、大きく伸びをする。
「ふにゃー…っ」
「なんだか、すごいな」
「…もさ…」
「久しぶりのお天道様たい」
「…さらさんは…?」
少女がきょろきょろと当たりを見まわす…が、同じように戻ってきた人々や、食料を探す人々で賑わっていた。
「…にゃー、どこかに居るんじゃにゃー?」
「それより、食料を探すたい。ついでに、見かけたら声かけるt…じゃ」
皆が顔を合わせ…頷く。
とりあえず、休憩がてらに食料を探したり、お店に行くことにしたようで…
バラバラになって動き始めた。


太陽があっちの地平線に近づいてきた時、魔法陣の近くで待ち合わせ、と言うことにしていた。
「…まぁ、時計、持ってにゃいしにゃー」
がさがさ、と、草を刈りながら、猫のクセにそのアバウトさに目を線にしていた。
「…もさ」
ざっくざっく。
切られていく同族に、少年は呆然(?)と見ている。
「…ふぅ。こんにゃ所かにゃ…次はパンくず貰いに行くニャ♪」
「…」
猫の言葉に小さく頷く少年。
少しは同族意識はあるのだろうか…少しだけ、その頷きに力がこもっていたような、居なかったような…

 

「にゃー、この石と木でお金取るって…」
むむぅ、と買った物を見て、唸る猫。
イロイロできそうだからにゃー、と買うことにした…のだが。
「この薬と同じくらい、って…」
むむぅ、と唸る猫。
もう一つ…買った薬は、身体の傷を癒すモノで。
速効性はあるが、あまり期待はしない方が良いとのこと。
もう少し高ければ良いモノがあるよ、と言っていたが、猫にはそんなお金はなく…
ましてや、大したことのない石や木を買っていたため、無駄遣いも出来なかった。
…何故なら、此処特有の通貨で…遺跡の中で襲われた時に退ける。
その時に、手間賃として貰ったようなはした金額…
普通の携帯食料でさえ、何回も戦わないと、何日分も用意することは無理だった。
「む、ミルどん、早いのぉ」
見れば、茄子が戻ってきている。
にゃ、と軽く挨拶をすると、バッグに買った物を入れる。
「…にゃ、茄子も今は暇にゃ?」
「そうじゃよ?」
茄子の返答に、猫はゆっくりと立ち上がって…
「…じゃ、誰かと練習試合させてもらうにゃ?
ニャー達、さら達としかしてにゃーし…
ニャカニャカ楽しいかもしれにゃー」
「…こうせんてき…?」
一緒にいた少年は軽く首を傾げるが、
「…夕暮れまで、まだ時間があるんだモンにゃー…」
猫は目を線にした。
「…じゃ、そうするかの…相手は探したのかの?」
「うんにゃ?とりあえず、此処の近くに居る人にしよーかにゃー、にゃんて…」
茄子に言われて、辺りを見回す…と、二人組を見つける。
「…あの人達にゃんてどうにゃ?」
「…まぁ、良いんじゃなか?」
顔を見合わせ…小さく頷くと、一人と一匹と一個はその二人組に近づいていった。

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プロフィール
HN:
ENo920PL
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非公開
自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

リンク、アンリンク勝手にどうぞー。
万一リンクしていることが発覚したら何かの呪いの装備の如く相互リンク致します。
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