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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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「ふ…ふ…」
石像を従えた漆黒の髪。
”ソレ”は元々、この場に居なかったのではないか?
そう思わせるように…崩れるように消えていった。
ただ…
ソコに、紅十字を遺して。

「…勝った…にゃ?」
針を構えていた猫が臨戦態勢を解きながら、前で戦っていた兎に問いかける。
「…その様っすね…」
斧を担ぎながらその十字架を拾うと、兎は猫に振り返った。
「…ちょっと…消耗しすぎたっす。外に戻るっすよ?」



「ぁー」
猫は空を見上げながら、声を漏らした。
その声は何と形容すればいいのやら。
絶望しているのか疲労しているのか…
そんな濁った声を空に向かって出していた。

…ソレは、猫がこんな事をしている数時間前に遡る。
遺跡の不思議な力の一つ、疲労している者を外へと追いやる機能。
猫と兎はまだ微かに冷たさが残る風にさらされていた。
「…じゃ、みんにゃを探さにゃーと…」
そう、猫が兎に言った瞬間、遺跡はまた疲れ果てた者を吐き出した。
「…パノ…と、飛燕…!」
見覚えのある少女と青年の姿。
兎と猫は駆け出していた。


「…って事は…あの、トリスって言うのは…門番、かも知れないっすねぇ…」
食料を買い込んだ後、焚き火の周りで話し合っていた。
少女と青年…それと茄子はあの女と接触し、負けていたらしい。
しかし、猫と兎よりも後に出てきたことを考えると…
どうしても、時間軸がおかしい。
猫と兎の前で砂のように崩れ去った女…
それは、兎の手の中にある紅十字が示している。
そして、猫達が接触する前に引き返した…砂地の向こうに居たらしい二匹の獣と少年。
噂によれば、その女を倒した者が向かえば姿を現さなかったという。
「…宝玉を守る、ってゆー…アレ、にゃ?」
この島へ呼ばれた理由。
それは七つの宝玉を集めし者は願いを叶えられるというモノ…
招待状を受けとった者ならば。
この島に関して知っている者ならば…
少なくとも知っている知識。
「…つまり…その奥に…」
少女の声に猫は小さく頷いた。
「恐らくは…でも…」
猫は言葉を止める。
その言葉の続きを兎が繋げた。
「門番だとして…二人居たわけっすね。片方を倒して消えた事を考えると、アッチと繋がっていて…」
焚き火に渇いた枝を放り込みながら青年は言う。
「…まだ、先がある…?」
炎は皆の身体を映し、そして影を作る。
その闇は不安で濃く見えた。
「…門番に守られてるのはニャー達かも知れにゃー、って事かニャー…」


檻の中に百獣の王は居る。
しかし。
その檻がなければ、王は爪を振るうであろう…
力無き民はその爪の前に、赤を散らすことになる。
さて…
檻の中に王を入れたという人間。
檻の中に鎮座する王。
その檻は何の為にあるのだろうか…


「…はぁ」
もう一度、猫は深い溜め息を空に吐いた。
そして、一人…鳥男が遺跡の中に残っている。
猫達の中で、一番体力があった男で、まだ遺跡は戦えると判断しているのかも知れない…
しかし、姿が見えぬ者に対して、不安は広がっていく。
「…こうしててもしょうがにゃー…かにゃ」
拾った緑色の液体。
そして、石像から出てきた鉄の固まり。
それらで針を作っていく。
猫がこの島で手にした知識…
物と物とを組み合わせる技術。
そして、その先にあるのは…生き物すらも組み合わせることが出来る技術…
が、あるらしい。
猫は思う。
もし、ソレで”自分”が残るので有れば…
この島で、自分を越える自分を作れるのではないか、と。
そうすれば、下に行ける力が…
「…」
猫は頭を振った。
…何を考えているのだろうか。
元々、猫はこの島にはバカンスしにやってきたのだ。
ダメだったとしても、何も気にすることはない。
この遺跡の外は安全なのだ…
「…っ、にゃーにするにゃ、コイツー」
いきなりはたかれ、そっちの方向を向けば緑の髪を持つ少年が居た。
…猫の魔力によって使役している雑草…なのだが、その姿をまた使役の術の一種で変えさせていた。
この力も、この島で培った物なのだが。
「…もさ」
ぼそりと呟く少年に、眉間に皺を寄せつつ猫は言う。
「にゃーににゃー、にゃんも用事がにゃーのにはたいたのにゃー?」
キーッ。
歯をむくと、少年は口を開いた。
「…この島…生きて、いくには…力、必要…」
その小さく開かれた唇で。
「だから…もっと、強く…なりたい…」
その小さな声で。
「どんどん…強いの、寄ってくる…」
願望を唱えた。
「それ以上に、強くなりたい…」
「…」
猫は視線を落とし、溜め息をついた。
元々、猫は…
「ミルッ」
また、気分を変える前に声をかけられると、複雑な表情で顔を上げる。
猫が向いた方向には、金髪の少女が居た。
黒いリボンで髪を結い、緑のパーカーとジーンズという軽い格好。
…普通の人間と違うことは目が赤で染まっていたことか。
元々、この少女も猫の魔力によって使役している蜂だった。
雑草の少年よりも使役している日数は少ないモノの、純粋な針の使い方や針の毒は猫に勝るとも劣っては居なかった。
「練習試合をしたいという一行が居るようですが…どうするのです?」
猫は視線を落としたまま黙していたが…
蜂の少女はその様子に首を傾げながら言った。
「…どうしたのです?ミルらしくもない」
猫に背を向けると、その一行の方を向いた。
「何を考えてるのか知りませんけど…私達はトリスを倒したのですよ?壁に当たったワケでもないのに、不安になることはありますか?」
「…」
その言葉に猫は顔を上げ…小さく頷いた。
「そーだよにゃ…うん、そーだよにゃ」
「もさ…」
むすー、とする雑草の少年を尻目に、猫は蜂の少女に言った。
「じゃ、練習試合をしようかにゃ…さらは?」
兎の姿を探す猫に、少女は、
「は?」
首を傾げる。
「…いや、だから、さらは…」
猫が問いかけるも、その言葉は少女が指差した先を見た途端、閉口せざるを得なかった。
…すでに、兎は相手がいる用で…
「ぇ、にゃに?ニャー一匹?」
ぅぇー、と嫌そうな顔をする猫に、蜂の少女は小さく笑いながら言った。
「…私達もいるから三人です」



「…やれば出来るじゃないですか、ミル」
肩で息をする猫に、少女は微笑んだ。
…どうやら、島に来てからまだそんなに過ごしていないのか…
猫の方が場数慣れをしていた。
「にゃーん…ちょっち…」
しかし、猫一匹で大半を削っていた事に、じと目で少女と少年を見るが…
溜め息を一つ付くだけで終わった。
自分の力を越えたら使役などさせてはもらえないだろう…
つまり、自分がそれ以上に強くならなければならないのだ…
少女は苦笑しながら猫の肩を叩く。
「お疲れですか?…ホワイトデーで頂いたキャンディでも舐めたらどうでしょう?」
…時期はホワイトデー。
なのに。
「…」
彼氏と言える存在が居ない猫。
その味は少ししょっぱかった…と言うことはなかったらしい。
…辛うじて。




猫達は魔法陣に踏み込んだ。
あの女を倒せるほどの力があった方が良い…
もう一度、力試ししに行くらしい。
しかし…その前に、猫達は東へと向かっていた。
「噂っすが…さら達が居る魔法陣の近くで、隠し通路があったらしいっす」
兎の言葉に、皆目を瞬かせます。
話に寄れば、その奥には強い魔力のこもったローブがあったらしく…
その通路が見つけられたのはほんの一日前。
「まだ、何かあるかも知れないっすし…」


その壁に触れると、ぶおん、と音と共に腕がすり抜けた。
「…にゃ、この壁みたいだにゃ…」
…暗い廊下を抜けると、砂地が広がっており…猫達は辺りを見回す。
「…にゃー…流石に、人が多いニャ」
噂を聞きつけたのか、他にも人が十数人おり…
「…あれ?」
ふと、猫が声を上げると、
「パノは…?」
…少女の姿が見当たらず、きょろきょろと辺りを見回した。
しかし、その姿を確認することは出来ず…小さく唸ると兎は言った。
「まだ何かあるかも知れないっすし…手分けしてパノも探した方が良いっすかね」



「にゃー…にゃー、パノー、ぱーのー?」
砂を蹴りながら、辺りを見回す猫。
しかし、見つかったのは市販のポーションで…
ソレをバッグに入れると溜め息をついた。
「にゃー…此処に居にゃいんじゃにゃいのにゃ…?」
「そうですね…」
蜂の少女が額の汗を拭うと、ふと、とある方向を見つめていた。
「…何?今度は何にゃ?」
「練習試合、の様ですけど…」
「また、にゃー…?」
がっくし、と肩を落とす猫に蜂の少女は言う。
「…まぁ…何事も経験です」
溜め息と共に、猫が針を構え…


…ゾクッ…


「にゃっ…!?」
不意に感じた寒気に似た何かに辺りを見回す。
「どうしました?」
「にゃ…」
歯を噛みしめ、猫は眉間に皺を寄せていた。
「…嫌にゃ予感がする…」
「…?」
雑草の少年が首を傾げたが、練習試合はもうすでに始まっており…
「…無事だと良いのですが」
こんな時に全員で別れて行動したことに、後悔の念を抱きながら針を構えた。

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自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

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