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猫だったのに、なんかGが湧いてきた
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――時は流転する。

――立ち止まっている間にも、走っている間にも。

――何人たりともその動きを遮ることは出来ないのだと…

――太陽と月は追いかけっこを続けます。



「…ぉぉー」
猫が声を漏らします。
少年の魔法の飛礫でひっくり返った蟻さん。
時々、ぴくぴくと足を振るわせながら、戦う気力はないことを物語らせていました。
「…もっさー、ゆっくりしててー…」
少年は溜め息をつき、皆の方に戻ってきました。
…さっきの蟻さんで最後。
特に危なげもなく戦いを終えたのでした。
「んにゃー。余裕、にゃー?」
大きく背伸びをして猫は言いました。
「でも、さら達は結構本気で行ってたっすけどねぇ」
兎さんが、蟻さんの折れた牙を拾い集めています。
「…さらの攻撃は避けられてたっすけど」
その折れた牙を青年と猫に渡すと、軽く肩をすくめる…仕草をしてみせました。
「んにゃ。強い敵と戦うことににゃったら当てれば良いのにゃ」
牙をポーチに入れながら言う猫に、兎さんは溜め息をついてこう言ったのでした。
「…出来れば、苦労はしないっす」


…バトルが終わると、皆が集まり…
砂地と水場の中に、ぽつん、とそびえている山岳を登り初めました。
どうも、強者の気配がするのだとか、しないのだとか…
「…んにゃ。でも、まぁ…ニャー達が先に見つければ、1対2で戦えるよにゃ」
そんな無責任で逃げの方向の猫の言葉。
しかし、ココでは弱肉強食…
正攻法で戦えるほどの力がないのに、綺麗事は言ってられないのが現状でした。
「…まぁ、卑怯なんだがな」
上半身が鳥の男がポツリと呟きました。


「…んにゃ?」
パンくずを口に入れながら、猫はぴくり、と耳を動かしていました。
「…どうしたんですか?」
近くで蚯蚓から手に入った肉を焼いている少女が軽く首を傾げます。
その声に気付いたのか、少しだけ目を向け、
「…声が聞こえたニャ」
そう言うと、また目線を虚空…
…いや、よく見れば山の麓の方…
…に向けました。
「…」
少女はその様子を時々見つつも、玉葱を切り始めました。

…しばらくして。

玉葱とお肉を串に刺したモノを火で炙り始めた時、猫は少女の方に目を戻しました。
「…んにゃ」
その料理に一つ瞬きをすると、目が線のように細くなりました。
「…で…どうだったんですか…?」
焼き加減を見ながら少女は尋ねます。
「んにゃー…にゃ、ドコかで聞いたことのある声が聞こえたニャ」
猫はんー、と唸りながら、ぱっとしない答えを返します。
今度は少女の目が瞬きました。
「…どこか?」
「にゃ、どこか…えっと…うんと…」
むむーぅ、とこめかみに指を当て、うりうりと刺激を繰り返し…
お肉の肉汁がしたたるくらいになった頃、猫は顔を上げました。
「分かったニャ、お風呂場にゃ」
「…はい?」
いきなり言いだした言葉に、やはり少女は何の事だか分かりません。
この島にお風呂場なんてあったでしょうか…?
あったら、活用している人も多いでしょうし、何より少女も入りたい。
それなのに、目の前の猫の答えは…
「んにゃ。何かのお風呂の遺跡にゃー。夜にゃ夜にゃ、色んにゃ人が集まるんだにゃー」
耳をビコビコと動かしながら言った猫の言葉に、少女は要約納得した表情を浮かべます。
…風呂場跡。確かに、お風呂場ではあるけれども…
少し期待していた少女は小さく息を吐きました。
その様子に猫は気付かなかったのか、ニコニコとしながら、
「んにゃ。少し遠いけどにゃー。ココで戦い終わったら、外に戻るんだよにゃ?」
少女に言いました。
少女の返答は、一つ首を縦に振ること…ソレを見て、猫は、
「にゃー、にゃーもちょっとしたアクセサリーにゃら作れるからにゃ…ちょっち行ってくるニャ」
と尻尾をうねらせ…串焼きに目を向けました。
「…にゃ、玉葱…出来れば、抜いてほs」
「出来ません」
ぴしゃり。
少女は猫の上目遣いのお願いを見もせずに打ち切ります。
「…」
猫は肩を落とし、腰を下ろしました。


「んにゃー、これ、イジメかにゃー?」
ツーマンセル…強い相手とはコレの方が良いでしょ、という話になったのでした。
そんな中、猫と組むことになった青年は一方的に猫の愚痴を聞かされるのでした。
「だってにゃー、玉葱って、にゃーは猫にゃのにゃー、ひどくにゃー?」
「…」
無言。弱ったような表情を浮かべる青年に、おかまいなしに喋り続ける猫。
「茄子にゃんてにゃー、みみず丸出しバーガーニャっ。これ、食べる気も起きにゃいにゃー…」
およよ、と鳴き真似をする猫。しかし、後ろにいる少年はじーっと醒めた目で猫を見ています。
「にゃー、にゃんとか言って、にゃーぁー」
ふえーん。と、猫は鳴きながら青年の背中に声をかけ続けます…
が。
「や、やっと…おいついた…!」
荒い呼吸に皆が目を向けます。
見れば…サングラスをかけた蚯蚓の姿が其処にいました。
「…んにゃ?」
目を瞬かせる猫。
それは、青年も少年も同じだったことでしょう…
「よーやく、追いついた、ぜっ!お前に、ついてく、からな!?」
ずいずい。グラサン蚯蚓が猫の方に這いずりながら今度は声を荒げます。
「…んにゃ?」
意味が分からない、と言ったような目で蚯蚓を見て…
「にゃんでにゃ?」
そのまま疑問を口にします。
その問いに蚯蚓は、だーっ!、と、うねうね動きます。
「そんなモン、お前に惚れたからに決まってるだろうが!」
「…」
凄く嫌そうな顔をする猫。
そんな猫に追撃の一言。
「良い肉してるからなっ!」
「カエレ!」
むがー!毛を逆立てて猫は蚯蚓を威嚇します。
思いっきり構えていて、戦闘態勢…だった、のですが…
「…ん…ぁ…?」
蚯蚓の様子がおかしくなりました。
青年と少年は顔を見合わせ…
猫の手に持っているモノを見て、納得がいきました。
「ぉ、お前、オレ達、喰ってるのか…?」
後ずさりっぽいことをしながら猫に尋ねます。
ぴこーん。
悪戯猫の発想です。
にや、と少し笑った気がします。
「んにゃー、そりゃー、美味しいしー、にゃー」
にやにやにやにや。
悪い顔をしながら、蚯蚓を焦らしていきます。
「ぁ、ぁー…オ、オレ、急用を…」
「待つニャ」
「ヒッ」
びくっ、と硬直する猫に、耳元(?)で囁きます。
「ちょうど良いニャ。今日一日だけ付き合うニャ…変にゃ事したら…」
ふーっ…弱めに息を吹きかけると、びくびく、と蚯蚓が震え、
「わ、わぁったよ!だから、頼むから、喰うなよ!?」
焦りが混ざった声で返事をしたのでした。
満足そうな表情の猫に、もう一度悪戯猫の笑みが浮かびました。
「…にゃ。今にゃら、さらとパノに勝てる気がしにゃー?」
…兎さんと少女…
兎さんの持つ斧から放たれる攻撃は強力で…
されど、少女の唱える魔法もこれまた強力…
破壊力で言うなら、この二人のコンビはPT内で最高ではないのでしょうか?
その提案に青年は少し考え…
「…良いのかな…?」
と、少し躊躇いましたが、猫はうんうん、と頷き、
「行ける、にゃ…!」
びっ、と親指を立てると、近くで戦う相手を探していた兎さんと少女の後ろ姿に声をかけました。
「にゃんにゃー!練習試合しにゃー!?」



…蚯蚓はその様子にカクカクと同じ待遇の少年の方を向きました。
「あの猫…いつも、あんなのなのか…?」
「…うん」
小さく頷く少年に、蚯蚓はカクカクと目線を戻し…
「…アイツについてくの、マジ辞めよっかな…」
「…それが…いい、と…おもう…」
少年の返答に、蚯蚓は決意を固めたのでした。

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HN:
ENo920PL
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非公開
自己紹介:
猫やってました。猫騎士、赤毛の猫、女好き淫魔猫。
今では何故かGやってます。

ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。

リンク、アンリンク勝手にどうぞー。
万一リンクしていることが発覚したら何かの呪いの装備の如く相互リンク致します。
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