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――遺跡の中の山…
――そんな変わった景色の中、猫達は練習をしています…
――彼女たちは気付いているのでしょうか…?
――その騒がしさにつられてやってくる者達に…
「にゃっはー!今回はニャー達の勝ちにゃー♪」
猫と鳥と茄子がハイタッチ(?)しながら喜んでいる。
「んー、流石に…人(?)が増えると辛いッスねぇ…」
休んでいた兎が立ち上がり、少し唸る。
…彼の飛んできた斧を受け止めたのは、足下でぐったりしている元歩行雑草の少年だった。
「…」
「ふにゃー、にゃんとかにゃるものにゃー♪」
「もさ…」
納得いかない、という声をだす少年。
しかし、舞い上がった猫達に聞こえるはずもなく…
「…もさぁ…」
頬を膨らませていた。
「ふにゃー、勝った後の食事は良いニャー♪」
もぐもぐと紫色のサラダを食す猫。
「まぁ、運動した後ですt…じゃ」
何かを言いかけて止める茄子。
…なんでも、何かの本に感化されたらしいのだが…
「…ところで…」
黒髪の青年が弓を持って周りを見渡す。
「何か、不穏な空気がしませんか…?」
「ふにゃー?」
ケタケタと上機嫌で答える猫。
「にゃーん、虫の合唱と、豚の鳴き声の輪唱が聞こえるニャー♪」
「ソレとハゲタカのダンスだな」
何でもないかのように言う太郎。
…自身が半分鳥だからだろうか?
頭上で円を描く鷹に気付いていた。
尤も、彼も其処まで危機感を感じていないようだが…
「…それって、危ないんじゃ…この遺跡じゃ…」
少女がもぐもぐと食べながら小さく呟く。
…そうしてやっと、異変に気付き始めた。
「…いつの間にか、でかい蟋蟀と黒豚に挟まれてるッスよ?」
「…にゃにゃ?ニャーにメロメロニャ?」
目が線になりながらもまだボケている猫にハリセンを一つ叩く茄子に、弓を構える青年。
「ふにゃ?」
目を瞬かせると辺りを見て…
「もさー、出番ニャー♪」
「もさ…また…痛い、の…?」
「にゃ、痛くにゃいにゃ♪…もさが避ければ」
ぼそっ、と言った言葉は少年には聞こえなかったようで…
「…サギだな」
ポツリと言った鳥男の言葉など、誰も聞いては居なかった。
「まぁー、本気で行くニャー!」
きゅ、と手袋を着けた手を握り、ひゅ、と針を出す猫。
「…何コレよくわかんない」
と、言いつつ、何やら攻撃に対する速度が速くなる鳥男。
何やら、新しい能力が身に付いたらしいのだが…
少し、目に見えにくいようだった。
「…ふにゃーん…強かったニャ…」
のんべんだらりと伸びている猫。
その隣で同じく伸びている少年。
「…もさ…痛かった…」
「…だって、避けにゃいんだもん」
くぁ、と欠伸をすると、一人だけ何故か前に出ていて生け贄にされた茄子が、
「まぁ、勝って良かったですたい」
その視線は自然と一人ピンピンしている鳥男に注がれる。
「…なんで、太郎にはあまり攻撃が行かにゃいのにゃ?」
「犯人はオレだ!」
「…もさ…しかないよね…」
「バーローwww」
そんなやりとりをしながら、フラフラと戻ってくる兎達。
「にゃ…お疲れニャー」
猫は目が線になりながらも、ゆっくりと起きあがる。
しかし、兎たちの様子に軽く首を傾げ、
「…どうしたのにゃ?」
「…負けたッス」
ふぅ、と疲れたように話す兎に、続けるように少女が話す。
「あの、黒豚…魔法、使ったの」
ぼそぼそと話す少女に、猫達は顔を見合わせ…
「…にゃ。にゃんというか…お肉ニャのに…」
「…喰われる者の立場にもなってみるたい」
…何故か茄子だけは寛容だった。
「…というわけで、スリーマンセルじゃにゃくて、ツーマンセルで一体しか出てこにゃかった所をボコると良いと思うニャ」
ぉぉー、と皆が声を上げる。
「なかなかあくどいなw」
「知らにゃー」
茶々を入れる鳥男に、素っ気なく返す猫。
二人一組という事で、ある程度組み分けは決まったようで…
茄子と猫と少年。
鳥男と少女。
青年と兎…
と、決まったらしい。
何故そうなったのかは…まぁ、色々あったらしい。
近くにあった魔法陣を踏むと、西へと向かう。
「ふにゃー、それにしても、さらと飛燕…大丈夫ニャ?」
体力のある二人が最後尾で少し離れて歩いている事に、少し心配になったのか、猫が声をかける。
「ちょっと…キツイッス…」
「…うん、少し…」
二人とも、少しとはいうものの、疲れが見える。
「少し休むたい?」
「…私も、疲れたし…」
鳥男と一緒にいるからじゃないかなぁ、と皆思ったが、まぁ、全面一致しそうになったその時。
ぱしゅ。
…軽い音と共に兎と青年の姿が消えていた。
「…にゃにゃっ!?」
いきなり起こった事について行けていない猫達に声がかかる。
「遺跡外に放り出されたのだよ」
声をかけた者…ソレは…
「ぶたかよ」
鳥男がボソリと呟いた。
「お前は鳥だろう」
反対の方から声がする…そちらの方には、
「ぶたかよ」
…やっぱり豚が居た。
双方に居る豚たちがしゃべり出す。
「この遺跡には変な力があってねぇ」
「戦う気力無き者はこの遺跡から出される」
「生きていれば、だがねぇ」
「しかし、一緒に居る者の気力がある場合は追い出されぬ」
…この二匹の豚の言葉に、一同は顔を合わせ…
「…にゃんだかスゴイニャ」
「そうですt…じゃ」
「意味分からない」
「…じゃ、私は…この人と一緒にいるから?」
「そうにゃんじゃにゃいかにゃー?」
「しかし、早く戻って合流した方が良いですたい」
「そうだな」
「…じゃ、戻りましょうか…」
「…もさ」
満面一致で話し合いを終えると、豚達の方を向き、
「にゃー、助かったニャ。教えてくれてありがとニャ」
「いやいや」
「それほどでも」
「と言う事で、ニャー達はコレで…」
「「待ちたまえ」」
…背中を向けると、豚達が呼び止める。
「この際だ」
「手合わせをお願いできないかね?」
「…ぃ、イヤだ、と言ったら、どうにゃるにゃ?」
「去り際に一発、大きい魔術をお見せしよう」
「と言っても、すでに結界を張ってあるのだがね」
…嫌そうに辺りを見回してみると、確かに結界は張られていて…
「確か、さら達って…」
「…うん…豚に負けた」
「…ヤバイt…じゃ」
「バーローwww」
「…もさ」
顔を見合わせると、やれやれ、と言った表情で3:2で分かれる。
「…ほぅ?」
「分散するか」
…豚も二匹で一気に襲いかかるとその間に他の組に攻撃されるのが分かるのか、一匹ずつ分かれる。
「にゃー…大した自信だにゃ…」
「体力には自信もあるし、魔術にも又然り、なのでね」
猫の目が線になり…針を取り出す。
そして、茄子の周りに魔力が収束する…
「本気で行くですたい」
「行ってもヤバイしニャ」
相づちを打つと、一匹と一個は豚に向けて手にした武器で攻撃を仕掛けた。
――さて…遺跡に入ってから、少しの日数が立ちました。
――何やら緑のマッチョが着いてきます。
――まぁ、ソレも気にせず今日も遺跡の中を進みます…
――そして、衝突もまた…
「ふにゃーん…」
真っ先に倒れて、隅の方で丸くなっていた猫が鳴く。
練習試合…その決着が付くと、よろよろと立ち上がる。
「ふにゃー…お疲れ様、にゃー…」
「お疲れ様ッス」
「お疲れ様たい」
同じく、疲れて隅の方で休んでいた兎と茄子も、残って戦っていた三人に声をかける。
「…んにゃー、結構頑張ったんじゃニャイのにゃ?」
「バーローwwwwww」
鳥男はすでに興味を脳内彼女に移している様子。
耳を垂らすと少女の方を向き、
「お疲れ様ニャー…にゃ、ニャー達の中で、唯一魔法使えるのがパノだけだからニャー…」
ふにゃー、と鳴きつつパノに寄りかかりつつ抱きしめようとするのを青年と兎が腕で止め、
「まぁ、ミルも二回目の時は結構調子よかったッスし…波があるんじゃないッスかねぇ?」
「…それに、弓と魔法…斧、だから死角は特にないだろうし」
猫を止めながら話す。
「むむぅ、それにしても、最初は上手く行ったと思うんだけどニャー…」
ぶーぶー、と二人に抗議する猫。
「最初?」
「ぁぁ、おいが毒針でさらを麻痺させた時t…じゃ」
何か言いかけて、直したらしく、不自然な物言いになる茄子。
ぁぁ、と皆思い出しつつ…
「モッサァァァ」
…
「モッサァァァ」
「…ミル、にゃんだか、変な声が聞こえるッス」
「ニャ、気にしにゃくて良いニャ。まだ、一緒に戦うつもりがにゃいよーにゃ」
と、目を線にした。
…
「にゃー、ココまで来ると、逆に恐いモノが有るニャー」
「…何がですたい?」
茄子に作ってもらった紫色のサラダを食べながら…
猫はとある一点を見ている。
ソレは…鳥男の方だった。
「ありがとう脳内彼女。ところでさっきから怪訝そうな顔で猫がチラ見してくるんだけど?」
「…」
「うん、ありがとう」
…
「にゃー、何と喋ってるのにゃ?アレ…」
「おいに聞かれても困るですたい」
もぐもぐと食べていると、聞き覚えのある野太い声…
食べ終わった器をしまうと立ち上がる。
「…にゃ、さっきのと同じようだしニャ…ソコまで苦戦はしにゃいかにゃ?」
「…気を抜くのは危ないと思うたい」
チラ、と後ろを見て…着いてきている緑のマッチョは加勢する気はない、と知ると、手袋から針を出した。
「まぁ、特に問題はにゃい、よにゃ」
目を線にしながら、猫は歩き出す。
「まぁ、特に問題はないッス」
斧を持ちながら、隣で兎は言う。
「バーローwwwww」
またもや脳内の方々と話している鳥男。
「…まぁ」
「新しい歩行雑草が着いてきてるなんて、些細な事ですたい」
…
「…ニャー…」
小さく息をつく猫。
思い出したくなかったのに…と、しょげるが、ふと肩に何かが乗った様な気がして…
「…にゃ?」
鳩…である。足に手紙を巻き付けていた。
伝書鳩、と手紙を取ってみて…読み始め…
「分かったニャ!」
ぐっ、と握り拳を作ると、長い距離歩いている方の緑のマッチョに近づいた。
「…何するの?」
少女が怪訝そうに見つめるが、猫は聞く耳持たず…
何か気を溜め…針を取りだし、
「…かわいくにゃーっれっ!!」
ぶすっ!!
思いっきり額に刺した。
唖然とする皆。
そして、可愛い軽い音。
そこには緑の髪をした少年が佇んでいた。
「…」
「ふにゃーん!成功ニャー♪」
ささ、と少年を急かし、さら達の所に戻ってくる猫。
「な、なにしたんすか…?」
「ふにゃー、色んな所に伝わる、ミリキの技を使ったのにゃ」
ふんぞり、と腰に手をやり満足げに鼻息を出す猫。
「じゃ、アレにもしたらどうです?」
飛縁が指差すのはもう一体の緑のマッチョ。
「…にゃ、まだ力が足りニャーし、別に、一人で良いかニャー、って」
にゃーにゃー言いながら、少年の頭を叩いている。
「…」
「それにしても、何か名前は無いんすか?」
「ふにゃ?」
目を瞬かせ、猫は少年を見て…
「めんどくさいから、もさ、で良いニャ?」
「…もさ」
小さく呟く少年。
「良いってニャ」
目を線にして、猫は少年の名前を決めた。
「そ、それで良いの…?」
少女は凄く変わったもっさーを見て呟く。
「まぁ、本質は変わらにゃーし…良いんじゃにゃー?」
「…もさ…めんどくさい…」
少年も小さく呟いた。
「…ニャ。じゃ、今度は此処で一休みするニャ?」
腰を下ろしたのは山岳地帯…
本当にこの遺跡は広い、その上に自然が多く…
「そうっスね。じゃ、少し休んだら、練習試合でもするっスよ」
近くにあった水を汲んで口にすると、さらは言った。
皆が頷く中、少年だけは水の中に足を入れ、小さく呟いていた。
「…もさ…めんどくさい…」
しかし、その声は誰にも届いていなかった。
――魔法陣に入りました。
――廊下を抜けた先は、自然豊かな土地でした…
――しかし、それだけではなく…
――遺跡を護る者、遺跡に住む者が牙を剥くのです。
「さてと、まー、ニャーも役立たにゃいとにゃー」
そう言うと、手袋を填めた五指を握り…もう一度開いた時には針が手の中に出ていた。
「センテヒッショー♪チャームッ!」
しゅばっ、と針を飛ばし、緑のマッチョに刺さる…
何か、軽い音が聞こえ…マッチョの様子がおかしくなった。
「にゃにゃーん。ニャーのミリョクにメロメロニャ?」
ケラケラと笑いながら、針をもう一度出す。
…仮にも魔力を持つ猫。
魔力の使い方が戦闘向きではなかっただけの話で…
戦えない、と言うわけではなかったのだが…
実際戦闘意識を持たない猫に、闘いにかりだすと言うことはなかったのだとか。
「ぶっそうだな」
隣でポツリと呟く上半身鳥男。
それに目を向ける猫。
「…じゃ、その腕に付けてるソレは何ニャ」
…腕には、どこかの博士が開発したよーな…
時計に見せかけた麻酔銃が。
「これか?」
腕に付けていた時計をおもむろに外す。
「これはな」
そして、緑のマッチョに投げつけた。
「麻酔銃型の時計だ」
キッパリと言う太郎。
ガンッ。
思いっきりぶつかる時計。
「…」
無言でソレを見る猫。
それって…
何か言いたかったが、緑のマッチョがソレを待ってはくれなかった。
…
「ふにゃー、大変だったニャー」
溜め息をつき、傷を洗う猫。
「まぁ、お前、結構狙われてたしな」
「ふにゃん」
皆で集まって移動を開始する。
流石に、緑のマッチョがぴくぴく痙攣している所で休む気にはなれなかったらしい。
「それにしても、にゃんだかにゃー」
「どうしたとです?」
隣で歩いている(?)茄子のへたが問いかける。
「にゃ、あの歩行雑草?にゃんだか、妙に動きが鈍くにゃる時があったにゃー、って」
だから、助かったんだけどニャ、と頬を掻きながら歩く猫。
「んー、同族だからじゃないっすかねぇ?」
前を歩く斧持ったウサギさんが軽く振り返る。
「…同族」
考えもしなかった言葉に目から鱗が出た気がした。
なるほど、同族。
予想だにしなかった。
「じゃ、あの死に体(?)で着いてきてるアレは茄子の追っかけニャ?」
後ろを振り返らずに猫は言う。
皆、そっと、一目だけ見て…また視線を前に戻した。
「…着いてきてる」
「また、戦う気、なのかな?」
「…だったら、苦戦しそうにないけどな」
「にゃー、とにかく追っ払うにゃ?にゃんだか気味悪いニャ」
「でも、敵意が無いのに戦うとです?」
「…なんだか、こっちが悪役ッスかねぇ?」
皆、前を向いたままボソボソと話す。
その内、魔法陣を越え…行き止まり。二手に分かれる道へと着いた。
「…ニャ…ココで一旦休むニャ?」
くるり、と皆に振り返り…
「Σ !!」
見ちゃった☆
死に体だったはずのモッサァがいつの間にやらピンピンしている。
「にゃにゃにゃ!」
シャキッ、と針を構える猫…だが。
「モッサァァァ!!」
「…?」
「…」
「?」
敵意所か、額を地面にこすりつけてまで土下座で頭を下げている。
「…にゃ?」
「…コレは…何ッスかねぇ?」
皆でその様子を見ていて…猫が頬を掻く。
「にゃー、まさか、この中の誰かに着いて来たいんじゃ…」
「モッサァァァ!」
そうです、と言わんばかりに顔を上げるモッサァ。
「…本当に?」
なんだか感覚的に嫌だなー、と思っていそうな少女の声に一同目を合わせ。
「でも、まだ先はあるとです。助けになるならよかじゃなかとです?」
茄子のへたがそう進言する。
「…まぁ、そうですよね」
確かに、と言う声が漏れ…
「じゃ、YOU、オレに着いて来ちゃいなよ!」
太郎の臨場感溢れる(謎)声。
しかし。
「モッサァァァ!!」
…首を横に振る緑の。
「…誰か、決まってるんスかねぇ?」
えー、と顔を見合わせ…
「…」
皆、バラバラになってみる。
…
んで。
「ふにゃぁぁぁぁ!?」
猫の方へと緑のゴツイのは移動した。
「にゃ、にゃーにゃのにゃ!?へたじゃにゃくて!?」
「モッサァァァ!!」
端から見ると、姐御!って言ってるように見えるのは、その見た目故か。
「ぁー、良かったッスねー」
「うらやましいな」
「…」
「よかとです」
少女は何だか複雑な目で見ていた。
「ぎにゃーーーーーーっ!!」
叫ぶ猫。
「…ミリキ、って罪にゃ…」
およよと鳴く猫に、皆は軽くガクッ、となったとか、ならなかったとか。
「さてとー。一人(?)増えたけど、練習試合するっすよ!」
さらが猫に向かって言う。
「ニャ、ちょっとずつ慣れていった方が良いよにゃー」
目が線になりながらも、戦闘時の組み合わせになり…
「じゃ…」
皆、思い思いの位置に立ち…
「行くっスよ!」
武器を構えた。
――島に来てから少ししました。
――皆、思い思いに草を刈ったり…
――思い思いに拾ったり…
――そして、魔法陣へと踏み出していくのでした。
「…ふにゃー」
小さく声を漏らす猫一匹。
ぞろぞろぞろぞろ。
人の流れに逆らわず、てこてこと歩いていきます。
「にゃぁ、コレがまだ一階層、って事だよにゃー?」
「だよな」
隣で相づちを打つのは上半身が鳥の男。
名は東京太郎。それぐらいしか話は聞いては居ない。
…言葉少なに言うけれども、どうも…うん。どうも。
その腕に付けた腕時計が気になる所存です。
「まぁ、いいか」
そして、時々、誰と話しているのか分からない。
本人曰く、博士と彼女らしい。
…どう見ても電波です。どうもありがとうございました。
「どうしたとです?」
ふと、声が聞こえた方を見ると、茄子…が居る。
…だが、名はまだ無い。
本人曰く、話しているのはへたなのだとか…
「…にゃ、広いニャー、って」
「そうなのです。まだまだ先は長いとです」
…何故、こんなメンツが揃ったのかは、猫も良くは知らない。
ただ、魔王様と冥土猫にヨロシク言っておいて、と言われ、探している合間に張り紙を貼っておいたのだ。
それに集ったのがこのメンツなだけであり…
その後ろで、斧を持ったウサギさんが言います。
「いやー、猫さんが同行者募集してて良かったっすよ!」
弓を持った男の子がソレに相づちを打ち…
「そうですね…」
ちっちゃな女の子も小さく頷きます。
…その様子を少し恨めしげに見つめる猫一匹。
さて。その組み分けをしていた様子を思い返してみましょう。
――回想。
「ぁ…猫さんって針使ってるんすねぇ」
「にゃにゃ?」
「…その、太郎さんも針じゃないですか?」
「おいどんも使ってるとです」
「じゃ、YOU達、オレと組んじゃいなYO!」
ちっちゃな女の子がコクリと頷きました。
――回想終了。
その時間、約1分。
話し合いと言えるのかも難しい所。
「ふにゃー!!ろまんすがにゃいにゃー!」
吼える(?)猫。
ソレを前にいた男性が言います。
「うるせーなぁ。静かにしろよ」
軽く首を捻り、猫の方をグラサンが見ます。
「にゃー!!……………はげー」
ぺちっ。
その、綺麗な頭を叩く猫。
「ハゲじゃねぇ、剃ってんだ!」
叫ぶグラサン…一緒に行くことになったのだとか。
すでにパーティを組んでいたのを、人数は多い方が良いじゃん、って事で一緒に行くのだとか…
猫とバレンの言い合いは激しくなるのでした。
それを、うるさそうに見る人影は数知れず…
しかし、その周りでも色々叫んでいる人はいるのでした。
「…適当で良いじゃねぇか」
最終的にこう落ち着いた模様…
溜め息と共にソレは紡がれました。
…猫も、突っ込む気力がないのか…そのまま頷き。
「ぅー、ニャーの拠り所はパノだけにゃー」
ちっちゃい女の子を頭から抱きつきます。
「ぁ。傷ついたっす」
「おいもです」
「…」
「まぁ、いいか」
そして、困ったようにオロオロとする女の子が残るのでした。
…平原に着くと、皆は腰を下ろします。
他の人々も今日は動かない人が多いみたいです。
「それにしても…にゃー、遺跡の中にこんな平原があるにゃんてにゃ…」
「そうっすねぇ。あっちには山とか、砂浜とか…森まであるみたいっす」
腰を落ち着けると、遺跡の外で拾ったパンくずを口に入れながら、適当にだべります。
「でも、こんな安全な所なのでしょうか?」
ぽつりと、飛燕が呟きます。
「…まぁなぁ。こんな島だしなぁ」
獲物を取り出しながらバレンが相づちを打ちます。
その視線は一方向を見ているようで…
「モッサァァァァァ!」
奇声が発せられました。
見れば、緑の物体のマッチョがこっちを恨めしそうに見ています。
仲間にしますか?
「…YOU達、オレといっs」
すかさず太郎にハリセンを入れる猫。
「大、却下、ニャ!」
見た目凄い顔をしている雑草…
「にゃー、話には聞いてたけどニャ…」
魔王様や冥土猫から聞いた話が蘇ります。
しかし、実物を見ると、また印象は違うモノで…
「襲いかかってくるとです。がんばるとです」
…いや。そこまでおかしくないかも知れにゃー。
隣に居る茄子の声に小さくそう思ったとか思わなかったとか。
――時計台のあるレンガの街…
――その街には二つの顔があります。
――一つの顔は昼の顔…人間達の住む街…
――もう一つの顔は…夜の顔。
――猫が魔力によって支配し、治安する…猫の街。
猫達に届いた一つの招待状。
ソレは島への招待状…何かの望みが叶うとかなんとか。
しかし、猫達には特に野望もないようで…
「…どうしようにゃ」
三代目魔王と呼ばれている黒猫は悩んでいた。
「ニャー、ニィちゃんはにゃにか良いアイデアはニャイかニャ?」
肩に乗っている小さな黒猫…使い魔のニィちゃんに尋ねます。
「ニィ…」
「…そうだにゃー…ニャルスは今、秋休みだからってニャー…」
眼鏡をかけている、落ちこぼれの虎猫を思い出しながら、魔王様は言います。
「…猫族に縛りを付けたら、絶対に帰ってこにゃくにゃるにゃ」
「ニィ…」
さすがは魔王様。自分も猫だからか良く分かってらっしゃいます。
「じゃ、どうするニャ…?ニャニか妙案ある猫ー」
黒猫が振り返ります。
そこには、いつの間にか六匹の猫…
――六猫柱。魔王の側近…
「とは、言われましても…にゃ」
「にゃーん、ニャーの配下は今特訓中だからダメニャー」
「ニャーの子分は一匹しかいにゃーし、アイツがいにゃくにゃったら…」
と、やはりメンドクサガリが揃う猫の一族。
案なんて見つかるはずもありません。
しかし、一匹のロシアンブルーが言いました。
「…ニャー」
皆が振り返ります。
六猫柱の中で、一番ののんびり者…決まって何かを言うときは、間延びした鳴き声で一鳴きしてから喋るのです。
「…ニャーの妹にゃんかー…どうでしょうにゃー…?」
「妹?」
皆がざわつきます。
彼女の妹…?
…皆、思い出すのに必死です。
何故なら、この一族…ロア家は、何匹もの猫が居るのです。
そりゃあ、もう、大変。
「ニャー…」
皆の様子に、少し困ったように猫は鳴きました。
「ニャーの、妹の名前は…」
………
「ふにゃー…」
場所は変わって、時計台より少し離れた廃屋の中…
月明かりが壊れた壁から差し込んで、猫を照らします。
彼女の名前はミュリィ。ミュリィ・ロア…
雌猫と言うこともあって、特に強くなれ、とか言われないので、のんびりとしている…らしかったのだが。
どうも、様子がおかしいようです。
短いシャツに短いズボン。そしてカウボーイとかが被るような帽子。
どうも、旅に出るような感じです。
「ニャー…暇にゃ」
…どうやら、のんびりしすぎたのか、好奇心の方が強くなったようで…
ブーツを履くと、ゆっくりと廃屋から出ます。
「…にゃ。にゃんとかにゃるにゃ」
持っているのは小さな針だけ。
護身用らしいが、特には戦う気もないらしく…
鼻歌交じりにレンガの道を歩きます。
「ミュリィッ」
近くの影に何かが降り立ちます。
ミュリィがそちらの方を見ると、一匹の眼鏡をかけた虎猫…
更に補足するなら、メイド服を着ていました。
「…にゃむりん」
小さく名を呼びます。
彼の名前はニャルス・ロア…そう、黒猫が言っていたのは彼だったのです。
…彼、と言うのは間違っておらず、雄猫なのにメイド服を着ているという、少し変わった猫でした。
「ミュリニャー♪何処に行くニャ?」
にゃーん、とミュリィに首を傾げます。
ミュリィも少し首を傾げ、
「…何処か?」
…しばしの沈黙。
どうやら、目的は決めていなかったらしく。
ニャルスが沈黙を破ります。
「…ニャ、ニャー…とりあえず、ミュリィ。魔王様が呼んでたにゃ」
眼鏡を直しながら、ニャルスはミュリィに伝言を伝えました。
ミュリィは訝しげな目をニャルスに向けますが、答えは返ってきませんでした。
「お呼びですニャ?魔王様」
…時計台。魔王と六猫柱が居るのは最上階。
フツーはこんな所に立ち寄りません…昇るのが疲れるから、という理由で。
「ニャ、ミュリィに来て貰ったのは他でもニャイ…」
重々しい声。
黒猫の魔力が空気を振るわせます…
髭がピリピリと震えながらも、ミュリィは言葉を待ち…
「島に行って欲しいニャ」
「バカンスは出来るニャ?」
「時と場合によっては、にゃー」
即、切り返された反応に、黒猫は目が線になり、
「…行く気ににゃったかにゃ?」
「煮干しはおやつに入るニャ?」
「ご飯にゃ」
即切り返しました。
…さて。
そんなこんなで島に来た虎猫、ミュリィ・ロア…
変わった仲間達と一緒にのんびりと行くことにしたようです…
胸から上が鶏の、鶏マンこと東京太郎…
どう見ても茄子のへたです、どうもありがとうございました、な茄子のへた…
どこかの弓道部員らしく、何かドス黒いモノを内に秘めてそうな飛燕…
何というか、貧乏頑張れ、な少女、パノッティ…
樵の斧をひっさげている兎、SavageRabbit…
………どうなる事やら。
しかも、持っている武器が似ている、という理由で東京太郎と茄子のへたとトリオを結成するミュリィ…
はてさて。どーなることやら。
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今では何故かGやってます。
ヘタレです。
お絵かきがそれなりに好きです。ゲームも好きなんです。
リンク、アンリンク勝手にどうぞー。
万一リンクしていることが発覚したら何かの呪いの装備の如く相互リンク致します。